■瀬川とは真逆な誰袖・福原遥

 X上では、《誰袖花魁、中の人が福原遥ちゃんだし、ぽわんとした印象だったのが、ここへきて一気に駆け引きに出る強さを見せて、ギャップがすごくて魅力的だな。そして危うくてこのあとが心配になる》《福原遥さんの誰袖花魁は、小芝風花さんの瀬川花魁の妖艶に対し、したたかな可憐ですね》などと、福原への絶賛の声が寄せられていた。

 誰袖は、わざとらしいほど蔦重ラブをアピールしておいて、意知と裏でつながろうとするあたり、美しいだけではない“したたかさ”を感じさせる。意知を呼び出し、密貿易の証拠探しに協力する見返りとして身請けを大胆に迫るが、その本当の狙いが分からず、誰袖のミステリアスさを際立たせている。また、愛嬌たっぷりな「んふ」というセリフも効果的だ。

 小芝風花演じる瀬川花魁は、妖艶でありながらも、蔦重との恋模様は悲しいぐらいの純愛で、それが涙を誘った。一方、福原遥演じる誰袖花魁は、したたかな悪女で、瀬川花魁と正反対のイメージ。同じ花魁役のため、福原は小芝と比較されがちだが、今後は、まったくの別軸の視点から評価されそうだ。

 これまで清純派のイメージが強かった福原は、24年7月期『マル秘の密子さん』(日本テレビ系)で、手段を選ばず依頼者を変身させて成功へと導く“トータルコーディネーター”という、ミステリアスな役に挑んだものの、キャラ設定が微妙で全話平均視聴率が4.6%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と撃沈。

 しかし、『べらぼうで』では演技力を存分に発揮できそうで、小芝同様、新境地でブレイクを果たせるだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。