■スキマバイトは企業側にも意外なメリットが
スキマバイトの仲介アプリ大手『タイミー』では、報酬を一度企業が立て替える形で即日払いが実現されています。それで、働き手は勤務終了後、アプリ経由ですぐに報酬を受け取ることができるんです。
その一方で、雇用企業側は報酬の3割程度をサービス利用料として、仲介業者に支払う必要があります。
しかし、人材確保の費用対効果が高いので気にならないと評価されているようです。
実際、スキマバイトをきっかけに、正規の長期雇用へつながったという調査もあります。「シェアフル」の調査によれば、約23%がスキマバイト後に長期勤務へ移行したとのことです。
「スキマバイトは単なる“その場しのぎ”の働き方さまざまな仕事を体験することが自己成長にもつながります。企業側にとっても、短期で優秀な人材を見極める機会となり、双方にとってメリットがあるんです」(生活情報サイト編集者)
■スキマバイトと闇バイトの繋がり
ただし、スキマバイトにはリスクも存在します。たとえば、“仕事内容が事前と違った”“予定の賃金が払われなかった”といったトラブルも報告されています。
さらに懸念されるのが、闇バイトとの関係です。
「高額報酬を謳った“猫探し”など、一見ユニークな募集に見せかけて、実際は特殊詐欺の手伝いであったというケースも。SNS経由で闇バイトに関与し、逮捕された若者が後を絶たないのが現状です」(週刊誌記者)
実際に、『タイミー』のサイト上でも、闇バイトと疑われる募集が掲載されたと報じられ、大きな話題を呼びました。
「深夜に猫を探すバイト・報酬7500円」と募集されたこの案件は、「スマートフォンの没収」や「指示に素直に従うこと」といった不審な条件が記載されており、大炎上しました。
これを受けて、タイミーは公式に注意喚起を行い、通報機能の活用を促すなど、対応に追われました。
ある労働経済の専門家は、スキマバイトの急速な浸透について次のように分析しています。
「働く側にとっては柔軟性が魅力ですが、社会保険への未加入やスキルの蓄積が難しい点も無視できません。制度の整備が進まなければ、格差の拡大に繋がるおそれもあるでしょう」
短時間でも収入を得られるという自由度の高さは魅力ですが、だからこそ安全性や信頼性を見極める目も必要になります。スキマバイトという新しい働き方が、今後どのように社会に根づいていくのか、今、その過渡期に立っているのかもしれません。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。