■『あんぱん』の“強み”とは――
『おむすび』は、橋本演じる平成元年生まれのヒロイン・米田結が高校時代に“ギャル文化”と出会い、やがて栄養士として人の心と未来を結んでいくという“平成青春グラフィティ”作品。
中盤以降は結(橋本)と仲里依紗(35)演じる結の姉・歩のダブル主人公のようになっていて、現在は結が病院の管理栄養士、歩はバイヤー業を経てファッションブランドの立ち上げを決意して奮闘中――というストーリーが描かれている。
「『おむすび』はテーマの1つ “ギャル要素”が朝ドラの視聴層と合わなかったこと、そして、あまりにダイジェスト感の強すぎる脚本に厳しい声が殺到してしまっている作品ですよね。物語のメインであるはずの主人公が管理栄養士を目指すという話さえ、試験に臨む姿や新人時代などは描かれず、いきなり管理栄養士として4年目を迎えたところから物語が再開するなど、とにかく駆け足。
どちらかと言えば結より歩の方がキャラが深掘りされていること、仲さんの存在感から、“歩が主人公の方が良かったんじゃないか”という声もあるなど、ドラマの評価は散々なことになっています」(前出のテレビ誌編集者)
『おむすび』は視聴率も振るわず、3月4日放送回(第107回)の平均世帯視聴率は12.9%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)。ここまでの平均視聴率は13.3%であり、歴代朝ドラの平均視聴率ワースト作品で倉科カナ(36)主演の『ウェルかめ』(2009年度後期)の世帯13.5%をほぼ確実に下回ると言われている。ちなみに、前期の伊藤沙莉(30)主演の『虎に翼』の全話平均視聴率は16.8%だった。
「2月28の週まで9週連続で週の平均視聴率は12%台ですので、全話平均視聴率は今後もさらに低下していく気配です。『おむすび』は“オリジナルの現代劇”という時点で視聴者の共感を得にくく、シナリオも山場を作りづらいと言われていましたが、視聴者離れがここまでいくとは……。
一方、次の朝ドラ『あんぱん』は戦前から始まる物語なので戦争など多くの山場があるでしょうし、何よりも、誰もが知る『アンパンマン』が生まれるまでを支えた人という実話に基づいた物語。多くの視聴者が共感できるでしょう。
似たケースと考えられるのが、『ゲゲゲの鬼太郎』の生みの親・水木しげるさんと妻・武良布枝さんの半生を描いた朝ドラ『ゲゲゲの女房』(10年度前期)。同作は全話平均視聴率18.6%と大成功しました。そうした点でも、『あんぱん』に期待している視聴者は多そうです」(前出のテレビ誌編集者)
河合と同じく『ふてほど』に出演していた仲の演技は評価されている『おむすび』だが、ストーリー・演出の低評価は最後まで覆ることはなさそうだ……。
(2025年3月6日公開)