軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、世界各国の軍隊が実際に使用する兵器・装備を、独自の現地取材写真とともに解説。リアルな“戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。
■東西冷戦中のソ連時代から続くロシア空軍の曲技飛行チーム!
ロシア空軍の曲技飛行チーム「ロシアン・ナイツ」は、ソ連時代の1991年に誕生した。ロシアでは「ルースキエ・ヴィーチャズイ」と呼ばれている。日本語に訳すと“ロシアの勇者たち”。英名とはニュアンスが異なっている。
創設時は、6機の国産のSu-27戦闘機を使用していた。まだまだ東西冷戦のまっただ中の時代ではあったが、ロシアン・ナイツは西側諸国でも注目され、91年9月にイギリスで展示飛行を実施し、ソ連空軍機が初めて平和的に西側の空を飛んだことが話題となった。

95年12月、訓練中の3機が空中衝突し、4名のパイロットが死亡する大惨事に見舞われるも、97年に活動を再開。そこから、ヨーロッパだけでなく、中国へも遠征するなど、積極的に活動をしていく。そして2020年頃から使用機をSu-35へと更新し、現在の形となった。
ウクライナ侵攻が開始された後、ロシア空軍は使用する戦闘機の数が減ったため、なんと2023年12月13日、「ロシアン・ナイツ」そのままの姿で、中国空軍爆撃機と日本領空付近で演習を実施し、防衛省を驚かせた。
Su-35SフランカーE【SPEC】 | |
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乗員 | 1名 |
全長 | 21.90m |
全高 | 5.90m |
全幅 | 15.30m |
最高速度 | マッハ2.3 |
航続距離 | 約3000km |
菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。