軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、世界各国の軍隊が実際に使用する兵器・装備を、独自の現地取材写真とともに解説。リアルな“戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。
■海外のエアショーでも活躍するインドの“太陽の光”曲技飛行隊
インド空軍は曲技飛行チーム「スリヤ・キラン・エアロバティック・チーム」を編成している。英語圏では“SKAT”と略されるが、アジア圏では「スリヤ・キラン」と呼ぶのが一般的だ。意味は“太陽の光”。9機のBAEホークMk.132で演技を行う。
スリヤ・キランが結成されたのは、1996年5月27日。当時は国産の練習機HJT-16キランMk.2を使用しており、これがチーム名の由来にもなった。当初は4機編成でスタートしたが、その後6機へと体制を変更する。

そして同年9月15日の空軍大学創立50周年記念を祝して初の展示飛行を実施。その後、98年に現在の9機の大編成体制となり、同年デリーで行われたインド独立記念日での飛行が、国民への初のお披露目となった。
そこからは国内だけでなく、中国やマレーシア、タイなど海外でのエアショーにも積極的に参加していく。
当初は臨時編成だったが、2006年5月1日より独立した部隊となり、第52飛行隊となった。15年から使用機を英国製のBAEホークMk.132へと更新。この機体はインド空軍向けに開発されたバージョンだ。
ホーク Mk.132【SPEC】 | |
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乗員 | 2名 |
全長 | 約12m |
全高 | 3.9m |
全幅 | 約9m |
最高速度 | 約1000km/h |
航続距離 | 約3000km |
菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。