軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、世界各国の軍隊が実際に使用する兵器・装備を、独自の現地取材写真とともに解説。リアルな“戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■高性能なレーダーとミサイルを搭載した日本最初のイージス艦

 海上自衛隊では、艦隊防空のため1960年代より「あまつかぜ」型、「たちかぜ」型、「はたかぜ」型といった対空ミサイルを主たる武器としたミサイル護衛艦DDGを配備してきた。これらは基本的に1機ずつ対処していく戦い方であったが、アメリカで同時多目標に対処できるイージスシステムが開発されたことを受け、日本も同システムを搭載したイージス艦の導入を決めた。それが「こんごう」型だ。

 海自はトータル4隻の「こんごう」型を配備。これにより、日本はアメリカに次ぐ世界2番目のイージス艦保有国となった。

艦橋構造物に張り付いている八角形状のものが固定式レーダーのSPY-1D。これがイージス艦の特徴である。写真/菊池雅之

 従来の回転式レーダーではなく、艦橋構造物の前後に4つの固定式SPY-1Dフェーズドアレイレーダーを装備したことにより、360度の常時監視が可能となった。敵機を迎撃するSM-2対空ミサイルは、艦首及び艦尾に配置された垂直発射システムVLSより発射する。

 北朝鮮による弾道ミサイル発射が相次いだことを受け、「こんごう」型は地表に落ちる前の宇宙空間で迎撃可能なイージスBMDシステムを搭載することになり、2004年から随時、各艦を改修していった。

ミサイル護衛艦DDG「こんごう」型【SPEC】                      

 
基準排水量   7,250t
全長 161.0m
全幅 21.0m
喫水 6.2m
速力 30kt
武器 54口径127㎜単装速射砲×1 Mk.41VLS×29+61セル ハープーンSSM 4連装発射筒×2 高性能20㎜機関砲CIWS×2 3連装短魚雷発射管×2
乗員 約300名

 

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。