軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、世界各国の軍隊が実際に使用する兵器・装備を、独自の現地取材写真とともに解説。リアルな“戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。
■見た目はイージス艦そっくり!? 陸海空とマルチに戦える駆逐艦
アメリカで開発されたイージスシステムを搭載した防空艦が日本をはじめ世界の海軍にて続々と配備されていく中、中国も防空型駆逐艦の独自開発を着々と続けていく。その末に完成させたのが052C型だ。
NATOコードネームはルーヤン(旅洋)Ⅱ型、または1番艦の名前を取り、ランヂョウ(蘭州)型とも呼ばれる。
この艦の特徴は、艦橋構造物の前後に装備された4つの固定式多機能アクティブ・フェーズドアレイ・レーダーだ。その見た目から“中華イージス”とも呼ばれている。

中国海軍は艦隊の中核に据えるべく、対艦・対空・対潜とマルチに戦える駆逐艦を配備することにした。こうしてルーヤン(旅洋)Ⅰ型こと052B型を建造した。これに独自開発した高性能の防空レーダーおよびシステム、そして最大射程200kmともいわれている中国国産の高・中高度防空ミサイルHHQ-9Aを搭載したのが本級である。この大改造により、敵のミサイルから戦闘機まで、空からやって来るあらゆる脅威と戦う能力を得た。これによって空母を中心とした打撃群の防空を担う重要な任務を帯びている。
●就役
170 ランヂョウ 2004年10月18日
171 ハイコウ 2005年12月26日
150 チャンチュン 2013年1月31日
151 ジェエンジュウ 2013年12月26日
152 チーナン 2014年12月22日
153 シーアン 2015年2月9日
【SPEC】 | |
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満載排水量 | 約7,000t |
全長 | 155.5m |
全幅 | 17.2m |
喫水 | 6m |
速力 | 30kt |
武器 | 55口径100mm単装速射砲×1 HHQ-9A対空ミサイル用VLS(6セル)×8 YJ-62対艦ミサイル4連装発射機×2 H/PJ-12 30mmCIWS×2 324mm3連装短魚雷発射管×2 |
乗員 | 約220名 |
艦載ヘリ | Z9対潜ヘリコプター×1 |
菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。