軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、世界各国の軍隊が実際に使用する兵器・装備を、独自の現地取材写真とともに解説。リアルな“戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。
■3D航空・水上捜索レーダーで迅速な攻撃が可能なステルス艦
ロシア海軍が初の本格ステルス艦として開発・建造したステレグシュチイ級。ロシア軍では「プロジェクト20380型」と呼ばれている。艦種は小型艦を表すコルベットではあるが、サイズが大きいため、その上のクラスのフリゲートに分類されることもある。
ステレグシュチイ級の特徴は、対空・対艦能力が高いこと。2007年11月14日に1番艦「ステレグシュチイ」が就役して以降、改良型も含め現在も続々と同型艦が建造されている。
船体は鋼鉄製、上部構造物は繊維強化プラステックを盛り込んだ複合材を採用し、全体にレーダー吸収グラスファイバーコーティングがなされている。ロシアオリジナルの建造技術およびステルス能力がいくつも盛り込まれており、政府は21件もの特許を取ったと、誇らしげに公表している。
特筆すべきは、マストの根元部分にある5P―27「フルケ」だ。3D航空・水上捜索レーダーで戦闘システムとリンクし、水平線ギリギリの戦闘機やミサイルおよび水上艦艇を探知し、攻撃の指示までの一連の行動を迅速に行うことができる。

●就役
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530 ステレグシュチイ 2007年11月14日
531 ソオブラージテリヌイ 2011年7月31日
532 ボイキー 2013年5月16日
545 ストイキー 2014年5月28日
333 ソベルシェンヌイ 2017年7月20日
335 グロームキー 2018年12月25日
339 アルダーツィデンジャポフ2020年12月25日
535 メルクーリィ 2023年5月13日
343 レーズキー 2023年9月14日 -
【SPEC】 満載排水量 2,200t 全長 約105m 全幅 約13m 喫水 約3.7m 速力 27kt 武器 100㎜単装速射砲×1 対空ミサイル用VLS×1 (12セル) コールチク複合CIWS×1 3M24用SSM 4連装発射筒×2 30㎜機関砲CIWS×2 4連 装短魚雷発射管×2 乗員 約100名
菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。