■損害額やドライバーへの賠償請求について聞くと――

 事故の画像を見るとかなり派手な状況だったように見えるが、幸いにも被害は軽微で済んだという。『株式会社福原』の広報担当者が続ける。

「一部の売場は閉鎖しましたが、営業はそのまま継続しておりましたので、影響はかなり限定的です。現場となった階段などにバリケードを張ってお客様が通れないようにし、事故処理が終わったら撤去、元通りにしたという形なので。現場検証して車を引き出して……封鎖も時間にすると3時間ほどでしょうか。

 消防などの方々が、処理だとかいろいろと全部やってくれたところもありましたので、従業員がガラスの撤去などに大きくかかわるなどといったことはありません。営業時間を変更したとか、早く帰したとかも一切なく、今は店舗も綺麗になっています。応急処置でガラス部分をコンクリートパネルなんかで塞いでいるくらいでしょうか」

 また、今回の事故で生じた損害については、「設備関係はかなり被害がありましたけども、修理の見積もりを取っているところですので、今はまだ分かりません」とコメント。

 はっきりした金額が分かった後についても、「先方の保険もあるでしょうし、弊社の保険もありますが、具体的なことはまだ何も」と未定であることを明かし、ドライバーへの賠償請求については「そういったことはしないですね。基本的には先方の保険で対応することになるかと思います」と答えてくれた。

 幸い今回は大事には至らなかったが、少子高齢化で高齢者人口が増える中、高齢ドライバーによる危険運転は社会問題となって久しいが、今年に入ってからも同様の事故が起こっている。

 たとえば、4月には愛知県名古屋市中区にて74歳女性の運転する車が歩道に乗り上げ、乳児を含む7人に怪我をさせ、自動車運転処罰法違反の疑いで現行犯逮捕(同日に釈放)されている。女性は「アクセルを強く踏んだ」と話していたという。

 また6月にも、長野県に住む99歳の男性が、岐阜県中津川市の中央道下り線・恵那山トンネルを逆走。41歳男性が運転する車に正面衝突し、重傷を負わせた疑いで書類送検された。

 こうした時勢を受け、各都道府県警・交通安全関係機関では近年、運転免許の自主返納を呼びかけるなどしているが、地方では車が欠かせない地域も多く、根本的な対策には至っていない。加速する高齢化社会を前に、何か対策はあるのだろうか──。