めまぐるしい変化を見せる国際情勢において、その変化のスピードは日々増していくばかり。いま、世界ではいったい何が起きているのか。元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が解説する。

――10月10日、高市早苗自民党総裁と斉藤鉄夫公明党代表の会談が決裂し、公明党は自民党との連立を解消しました。なぜ、このようなことになったのでしょうか?

佐藤:公明党は、支持母体である創価学会の生命尊重、人間主義、平和主義という価値観を実現するための政党で、権力の論理だけでは動かないことを高市氏がわかっていなかったからです。

 池田大作創価学会第三代会長によって公明党の前身である公明政治連盟が結成されたときに、公政連は、宴会政治の打破、すなわちカネで飲食接待をして動くような政治と訣別しなくてはならないとの主張を掲げました。政界浄化は公明党の1丁目1番地なのです。

 裏金議員問題が過去のことになったかのごとき自民党現執行部の態度に対して、公明党の政治家と一般党員は、「高市さんたちには、私たちの心が理解できないのではないか」という違和感を覚えていました。それが10月10日に臨界点を超えたのです。

 

――公明党は、過去26年間の自民党との連立についてどう考えているのでしょうか。

佐藤:まだ公明党はその点について総括していませんが、こんなところではないかと見ています。

「公明党が自民党との連立を組むという決断は、基本的に正しかった。この26年間、平和の維持、福祉の充実、草の根からの経済活性化など連立政権は、大衆の利益に適う政治を行ってきた。

 しかし、権力に安住するようになった自民党が徐々に増上慢に蝕まれていった。公明党は内部からそれを変化させようと努力してきたが、高市氏が総裁になってからの自民党は、公明党の声を聞き、自らの境涯を変化させようとする意思を失ってしまった。これ以上、増上慢にとりつかれ、『政治とカネ』の問題で国民の意思から乖離した自民党と、価値観政党である公明党は一緒に進むことができなくなってしまった」

 

――自公連立を解消した後、公明党はどのような戦略を持っているのでしょうか?

佐藤:公明党員も同党の支持母体である創価学会のメンバーも、自民党と訣別してよかったと考えています。斉藤氏の決断で公明党は、自民党のくびきを脱し、「魂の独立」を達成したというのが、公明党員と創価学会員の共通した認識だと思います。

 ただし、公明党の福祉政策、平和主義を実現するためには、権力を持たなくてはなりません。公明党は一時的に野党になっても、そう時間を置かずに与党になることを考えていると思います。(2025年10月14日脱稿)

佐藤優(さとう・まさる)
元外務省主任分析官、作家。同志社大学大学院神学研究科修士課程修了後、外務省入省。95年より外務省国際情報局分析第一課勤務。対ロシア外交の最前線で活躍し、「外務省のラスプーチン」の異名をとる。2002年5月に背任容疑で逮捕され、09年に最高裁で有罪判決が確定し失職。著書多数。