軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、世界各国の軍隊が実際に使用する兵器・装備を、独自の現地取材写真とともに解説。リアルな“戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■アメリカ生まれのスペイン育ち40年たった今も現役の防空艦!

 空母「プリンシペ・デ・アストリアス」(1988年就役、2013年退役)の配備に伴い、空母護衛用に防空艦が必要となったスペイン海軍は、米海軍が最終的に51隻も建造したミサイルフリゲート「オリバー・ハザード・ペリー」級の配備を検討する。

 同艦は当時としては最新鋭の対空レーダーおよび戦闘指揮システム、対空ミサイルを搭載しており、なおかつ安価であったため、世界中で注目されていた。

 スペイン海軍は輸入するのではなく、アメリカとライセンス契約を結んで国内生産することを決め、「サンタ・マリア」級として6隻を配備した。

 基本的に原型を基にしてはいるが、近接防御システムや電子戦システム、艦内居住区のレイアウト変更など、スペイン独自の改良も加えている。対空レーダーとミサイルが連動した「ターター・システム」を採用し、敵機を発見すれば、艦首にあるMk.13ミサイル発射機から対空ミサイルSM -1をタイムラグなくスピーディに発射できる。さらにこの発射機からは、対艦ミサイル「ハープーン」も発射できる。

スペイン海軍の中でも古参の軍艦とはなったが、空母護衛からイージス艦を補完してNATO艦隊を守る任務へと変更し、今も現役。その役割は重大であり、退役はまだまだ先となる模様。 ※写真/菊池雅之

就役

  • F-81 サンタ・マリア 1986年10月22日就役
    F-82 ビクトリア 1987年11月11日就役
    F-83 ヌマンシア 1989年11月7日就役
    F-84 レイナ・ソフィア 1990年10月30日就役
    F-85 ナバラ 1994年5月27日就役
    F-86 カナリアス 1994年12月14日就役

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  • 【SPEC】                  
    満載排水量     約4,000t
    全長 137.7m
    全幅 14.3m
    喫水 7.5m
    速力 29kt
    武器

    Mk.13mod.4ミサイル発射基×1 62口径76㎜単 装砲×1 メロカ20㎜m機関砲CIWS×1 3連装短魚 雷発射管×2

    乗員 約260名
    艦載ヘリ​ SH-60B×2(最大)

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。