軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、世界各国の軍隊が実際に使用する兵器・装備を、独自の現地取材写真とともに解説。リアルな“戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■軍組織のコンパクト化によって誕生した豪の汎用型フリゲート

 オーストラリア海軍では、80年代に組織のコンパクト化を目指す方針を決め、マルチに戦える中型船体の汎用型フリゲートを中核とした艦隊を創設することになった。そのために選定を行った結果、ブローム・ウント・フォス社(独)のMEKO200型が選ばれた。1996年に1番艦「アンザック」が就役して以降、トータル8隻が建造され、96年から06年の間に配備されていった。ちなみに、1番艦の「アンザック」はすでに退役している。

 この艦の特徴は、それぞれの海軍のニーズに応じ、武器やシステムを自由にカスタマイズできる点にある。オーストラリアでは、ミサイルの垂直発射システム(8セル)を採用し、ここから対空ミサイルのシースパローを発射する。

 2010年からは防空能力をアップさせるSEA1448改修を行うことになり、国内で開発したCEAFAR多機能レーダーが後付けされた。それが、船体中央の塔状構造物の先端にある多面体で、その中にアクティブ・フェーズドアレイ・レーダーが搭載されている。この改修により最新式の発展型シースパローESSMが発射可能となった。

改造後のアンザック級は、船体中央にそびえる塔状構造物の上に多面体のレーダーが搭載された。この大改修により、船体の外観は大きく変わることになった。 ※写真/菊池雅之

就役

  • F-151 アランタ 1998年12月12日就役

  • F-152 ワラムンガ 2001年3月28日就役

  • F-153 スチュアート 2002年8月17日就役

  • F-154 パラマッタ 2003年10月4日就役

  • F-155 バララット 2004年6月26日就役

  • F-156 トゥーンバ 2005年10月8日就役

  • F-157 パース 2006年8月26日就役

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【SPEC】                  
満載排水量     3600t
全長 117.50m
全幅

14.80m

喫水

5.99m

最大速力 27kt
武器

54口径127㎜単装速射砲×1
Mk.41mod.5VL S(8セル)
SSMハープーン4連装発射機×2
324㎜ 3連装短魚雷発射管×2
ファランクス20㎜機関×1
対潜哨戒ヘリ×1

乗員 約160名

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。