軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、世界各国の軍隊が実際に使用する兵器・装備を、独自の現地取材写真とともに解説。リアルな“戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■優秀なネットワークシステムとマルチな戦闘能力を誇る戦闘機

 90年代に「統合打撃戦闘機・JSF(Joint Strike Fighter)」という新しいコンセプトのもとアメリカで開発されたF-35Aは、世界の多くの空軍で、主力戦闘機として採用されている。空自はF-4E/EJファントムⅡならびに初期型のF-15J/DJの後継として、2011年12月20日に同機を選定し、18年から配備を開始した。

 同機の特徴は、空対空や空対地、空対艦とマルチに戦えるだけでなく、優れたネットワークシステムを持っていること。そこで、戦闘機としての能力だけでなく、海自艦艇のレーダーでは捉えることが難しい水平線の向こうの敵艦艇や航空機を発見した際に、海自へと情報を提供する偵察機としての役割を果たすことができる。それを可能にしたのが、機体表面に搭載された電子・光学式照準システム「EOTS」や、画像配信システム「EO-DAS」だ。また、米空軍をはじめ、F-35Aを運用する空軍と情報共有も可能だ。

 現在は約40機を配備し、三沢基地に2個、小松基地に1個の計3個飛行隊が編成されている。最終的に100機を配備する計画があり、さらに、部隊数は増えていく。

機体デザインだけでなく、カーボン複合材にレーダー波吸収材を混合し、その上からレーダー波吸収塗料も使用した素材にもこだわり、ステルス化を追求した。 ※写真/菊池雅之
【SPEC】                  
乗員     1名
全長 15.40m
全高

4.60m

翼幅

10.67m

最高速力 マッハ1.6
航続距離

約2,200km

空虚重量 13.2t
主要武装

25mmガトリング砲×1(固定武装)
その他ミサイル各種

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。