軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、世界各国の軍隊が実際に使用する兵器・装備を、独自の現地取材写真とともに解説。リアルな“戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。
■ステルス性を諦めて安価を実現 マルチに戦える多用途の戦闘機
タイ空軍は米仏独などのいろいろな国で開発・生産されている航空機を運用している。戦闘機としては米製のF-5やF-16が主力であったが、これを更新すべく、2011年から配備を開始したのが、スウェーデンのサーブ社が開発したJAS39グリペンだ。
スウェーデン語のJact(戦闘)、Attack(攻撃)、Spaning(偵察)からそれぞれの頭文字をった「JAS」という機種記号は、空対空だけでなくマルチに戦える多用途戦闘機であることを意味している。
ステルス性を潔く諦めた分、価格は安く、それでいて機動力や運動性能は高い。そのため国防予算の捻出が難しい国にも受け入れられた。タイの他、チェコやハンガリー、南アフリカ、ブラジルなどでも主力戦闘機となっている。
まず、タイでは6機を購入。現在までに単座のC型、複座のD型の2種類を計11機配備し、25年7月に発生したカンボジアとの国境紛争に投入され、カンボジア軍の射撃陣地を空爆し、初陣を飾った。
さらに25年6月、タイ政府は新たにアップグレードしたE型及びF型を12機購入することを決めた。
| 【SPEC】 | |
|---|---|
| 乗員 | 1名または2名 |
| 全長 | 14.76m(D型) |
| 全高 |
4.50m |
| 全幅 |
8.40m |
| 最高速力 | マッハ2.0 |
| 航続距離 |
約2,500km |
| 最大離陸重量 | 約14t |
| 主要武装 |
27mm機関砲×1(固定武装) |
菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。