軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。
■宇宙を飛ぶミサイルも追尾する日本のレーダーに中国も肉迫か
防空能力を極限まで追求し、100個以上の戦闘機やミサイルを同時に探知・追尾して攻撃をできるようにしたのが、アメリカで開発されたイージスシステム。その中核となるSPY-1レーダーを搭載した軍艦がイージス艦と呼ばれている。
SPY-1は艦橋構造物の4面に配置して360度常時監視できるため、一時的に探知できない時間が生じていた回転式レーダーの弱点を克服している。
日本が90年代に4隻配備した「こんごう」型のイージス艦は、後に宇宙空間を飛行する弾道ミサイルを探知・迎撃できるようになった、まさに最強の軍艦だ。
中国は米イージス艦の能力に驚愕して独自に研究し、国産対空ミサイルHHQ-9を統制する高性能レーダーおよびシステムを開発。それを052C型駆逐艦の艦橋構造物4面に配置した。見た目がイージス艦に似ていることから“中華イージス”と呼ばれ、2004年から2015年の間に同型艦を6隻配備した。
探知能力は日本のレーダーシステムのほうが高いといわれるが、中国側は一切、情報公開をしていないため詳細は不明。なお、日本側の搭載ミサイルは、SM-3。その最新版であるSM-3ブロックIIAの開発には、日本も関わっている。
有事となれば、この2艦が日中それぞれの艦隊の中核となり、戦闘機やミサイルと戦うことになるだろう。そのため、空母護衛という重要な役割を担っている中国の052C型駆逐艦は、日本のステルス戦闘機F-35をいかに迅速に発見するかに重点を置き、さらなるレーダーやミサイルの開発を続けている模様だ。
●SPEC比較 こんごう型 vs 052C型
| イージス艦 | こんごう型 (日本) | 052C型(中国) |
|---|---|---|
| 満載排水量 | 約7250t | 約7000t |
| 全長 | 161.0m | 155.5m |
| 全幅 | 21.0m | 17.2m |
| 喫水 | 6.2m | 6m |
| 速力 | 30kt | 30kt |
| 武器 | 54口径127mm単装速射砲×1 Mk.41VLS×29+61セル ハープーンSSM 4連装発射筒×2 高性能20mm機関砲CIWS×2 3連装短魚雷発射管×2 |
55口径100mm単装速射砲×1 HHQ-9A対空ミサイル用VLS(6セル)×8 YJ-62対艦ミサイル4連装発射機×2 H/PJ-12 30mmCIWS×2 324mm3連装短魚雷発射管×2 |
| 乗員 | 約300名 | 約220名 |
| 艦載ヘリ | なし(ただしヘリ甲板は有す) | Z9対潜ヘリコプター×1 |
菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。