軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■打撃力やシステムはほぼ互角!実践経験ではロシアが上回るか

 ロシア軍の主力戦車であるT-90は、歴代戦車の弱点を克服する改造を重ね、東西冷戦末期の1992年に正式採用された。最盛期には推定400〜500両を配備していた。

T-90(ロシア・4~7億円)※写真/

 先代のT-80戦車は、米陸軍の主力戦車であるM1にならって初めて高出力のガスタービンエンジンを採用したが、価格の高騰、整備の難しさなどもあり、これまで配備してきた戦車と同じディーゼルエンジンへと戻した。主砲となる「2A46」125㎜滑腔砲は、各種戦車用砲弾の他、ミサイルも発射できる。

 一方、陸上自衛隊も戦車を配備するが、常に北海道に侵攻してきたソ連時代の戦車部隊を殲滅できるかを念頭において研究開発がなされてきた。戦車の打撃力を図る一つのポイントが戦車砲だ。冷戦時代の陸自主力戦車は、105mm砲を装備した74式戦車であったが、その頃、ソ連は125mm滑腔砲を搭載したT-80戦車などが主流となり、打撃力で劣ると判断。そこで誕生したのが、120mm滑腔砲を搭載した90式戦車である。90式戦車は1990年から北海道限定で配備されていき、最終的に約340両が生産された。

90式戦車(日本・7~8億円)※写真/菊池雅之

 T-90と90式戦車には共通点がある。これまでの戦車は、車長、砲手、装填手、操縦手の4名で運用していたが、両軍戦車は自動装填装置を採用したことで装填手を省き、3名で運用可能とした。最初に実用化を成功させたのは日本だが、ほぼ同時期にロシアでも開発が行われていた。

 ロシア戦車の強みは実戦経験が豊富である点だ。近年だけでも湾岸戦争、シリア内戦、そしてウクライナ戦争と、数々の戦場に戦車を投入して戦っている。

●SPEC比較 90式戦車 vs T-90

戦車 90式戦車(日本) T-90(ロシア)
全長 9.80m(砲身含む) 9.53m(砲身含む)
全幅 3.40m 3.78m
全高 2.30m 2.23m
重量 50.2t 46.5t
乗員 3名 3名
速度 70km/h 45~65km/h
主砲 120mm滑腔砲 125 mm滑腔砲

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。