魂の伝道師、ラモス瑠偉のコラム。

 北中米ワールドカップ(W杯)まで3か月を切りました。日本代表は3月下旬にスコットランド、イングランドとの2連戦に挑みますが、欧州リーグ中にアウェイで行える絶好の強化試合。非常に重要な機会になるので、大きな手応えを掴んでほしいです。

 森保一監督も今、最終準備に集中していると思います。実は昨年12月に“ドーハ組”の集まりがあって、本人とも会ったのですが、あの晩は、とにかく楽しい時間でした。

 他に集まったのは、福田正博さんや勝矢寿延さん、さらに吉田光範さんらで、昔話に花が咲き、本当に最高のひとときでした。

 森保監督は現役の頃から優しかったのですが、人柄は今も全然変わりません。代表活動の際、試合になれば選手に対して声を荒げている様子を映像で見ることもありますが、ふだんは感情を表に出すことはほとんどありません。立ち振る舞いは紳士そのもの。話し方も穏やかです。

 代表活動中に、自分から報道陣にあいさつに出向くという話も耳にしましたが、まったく不思議はありません。日本人の礼儀を大切にするのは本当に素晴らしいこと。それも含めて心から応援したくなります。

 自分が代表でともに戦った三十数年前の森保監督は、アプローチの速さやボール奪取力、失った後の奪い返す意識、ハードワークが抜群でした。それぞれのクラブに戻ったときには対戦相手にもなりましたけど、森保監督は本当に存在感のある気の利いた選手でした。粘り強くて、相手にとってイヤな動きをしていましたから。

 ボールタッチ数が少ない分、外から見ている人には地味に映ったかもしれませんが、94年アメリカW杯で優勝したブラジル代表のドゥンガと同じような役割をこなしていたんです。彼の貢献度が高かったからこそ、私や吉田さんが生きた。アイコンタクトを超えた意思疎通ができる3人の中盤は、今、考えても絶妙でした。

 当時のオフトジャパンは一体感と闘争心にあふれたチームでしたけど、今の森保ジャパンにも通じるところが大いにあると思います。森保監督は全員が同じ方向を向いて戦うことの重要性を常日頃から強調していますが、その姿勢には私も大賛成。最近は代表チーム全体が森保監督の色になってきたと強く感じています。

 私は、指揮官が森保監督だから日本代表を応援しているわけでなく、日本人、日本全体を応援しています。そのうえで森保監督が成功してくれたら一番嬉しいです。今回のW杯ではそうなるように今は心の底から願っているところです。

ラモス瑠偉(らもす・るい)
1957年2月9日生まれ。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ出身。77年に来日し、読売サッカークラブ(東京ヴェルディの前身)でプレー。攻撃の核として5度の日本リーグ優勝に貢献し、得点王を2回、アシスト王を3回獲得した。93年にスタートしたJリーグでもヴェルディ川崎の中心選手として活躍。チームを初代王者、さらに連覇に導くとともに、自身は2年連続でベストイレブンに選出されるなど、Jリーグの草創期を支えた。89年に日本に帰化して日本代表でもプレー。司令塔としてアジアカップ初優勝をもたらし、94年W杯予選でもチームをけん引したが、あと一歩というところで本大会の出場権を逃した。98年に現役引退。指導者としては古巣の東京VとFC岐阜で指揮を執り、ビーチサッカー日本代表の監督としてW杯で世界を凌駕する活躍を見せた。国際Aマッチ通算32試合1得点。2018年、日本サッカー殿堂入り。
ラモス瑠偉公式サイト:http://www.ramos.jp/
(本連載取材協力:KAKU SPORTS OFFICE)