軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■敵から身を隠しつつ戦闘可能!将来的にはドローン配備も視野

 世界の海軍のトレンドとなっているのが、ステルス化を追求した艦艇を配備すること。現在の海戦は、100km以上離れた場所からミサイルを撃ち合う戦い方が主流となっているため、いかに敵のレーダーに見つからないように行動するかが重要なカギとなる。その答えがステルス艦だ。

 ロシアは初の本格的なステルス艦ステレグシュチイ級フリゲイトを建造した。沿岸警備に特化した警備艦として開発されたが、外洋展開能力も高い。また対艦・対空・対潜とマルチに戦える。マストには対空・対水上用レーダー「フルケ」を装備している。目標を捜索するだけでなく、追尾も可能だ。

ステレグシュチイ級(ロシア・推定200~300億円)※写真/菊池雅之

 同じように、海自もステルス化を極めた護衛艦「もがみ」型を建造した。こちらも沿岸警備を主たる任務としている。角のようにそびえる統合マスト「UNICORN(ユニコーン=UNIted COnbined RadioaNtenna)」を採用し、この中に、対空・対艦用のレーダーなどが内蔵されている。また、護衛艦として初めて機雷(水中で爆発する兵器)戦にも対応できる。マルチに戦えるとはしているが、実は、7番艦以前は垂直発射式ミサイルランチャーがないばかりか、対空ミサイルの配備自体も白紙の状態だ。

もがみ型(日本・約500億円)※写真/菊池雅之

 この両ステルス艦に共通しているのが、急ピッチで大量生産されている点だ。ステレグシュチイ級は20隻以上、「もがみ」型も改修型を合わせると20隻近くを建造する計画だ。そして、双方とも、将来的にドローンを主たる装備として配備する。それも飛行型だけでなく、水上型、海中型と、さまざまな種類のドローンを運用する計画がある

●SPEC比較 もがみ型 vs ステレグシュチイ級

ステルス艦 もがみ型(日本) ステレグシュチイ級(ロシア)
基準排水量 3900t 2,200t
全長 133m 約105m
全幅 16.3m 約13m
喫水 9.0m 約3.7m
速力 約30kt 27kt
武装 62口径5インチ砲×1
SeaRAM×1 
Mk.41VLS(16セル)※7番艦以降
17式艦対艦誘導弾4連装発射筒
3連装魚雷発射管×2
100mm単装速射砲×1
対空ミサイル用VLS×1(12セル)
コールチク複合CIWS×1 3M24用SSM 4
連装発射筒×2 30mm機関砲CIWS×2
4連装短魚雷発射管×2
乗員 約90名 約100名

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。