軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■乗員2名で運用可能な最新式の装備を誇る中国が大きく優位!

 実際の戦場では射撃した瞬間、敵に位置がバレてしまうため、大砲のような大型で重量のある兵器は、即座に逃げることが困難である。その弱点を克服するため、装軌(キャタピラ)式の車体を利用した自走砲が誕生した。各国はさらに機動力を上げるべく、装輪(タイヤ)式の自走砲を生み出していった。

 世界で最新の自走砲は、中国が2024年に公開したSH-16Aだ。これは8×8装輪式装甲車の上に155mm砲を乗せた装輪自走砲というジャンルとなる。当初は、6×6トラックシャーシに搭載されていたのだが、それでは堅牢性が確保できないのとパワーが足りないということで、まったく違う見た目となった。

SH-16A
SH-16A(中国・価格非公開)※写真/菊池雅之

 これだけ大きな装備でありながら、砲塔内を無人とすることで2名での運用が可能に。中国側は世界最新最強とうたっているが、ドイツの装輪自走砲RCH155と外観が酷似しており、独自性は疑われている。

 日本は、2019年から8輪ベースの19式装輪自走155mm砲の配備を開始した。ドイツ製のトラックシャーシの上に155mm砲を搭載したシンプルな外観。停車後、砲を斜めに上げて射撃をするのだが、5名もの人員を必要とする。その理由は、砲弾こそ自動で装填されるものの、それを飛ばすための装薬(火薬)は手動での装填となっているから。SH-16Aは、レーザー点火システムを採用し、火力を統制することで装薬は必要としない。射撃の際は車両から離れて操作可能だ。

19式装輪自走155mm
19式装輪自走155mm(日本・3億8000万円)※写真/菊池雅之

 肝心の速度は日中双方とも時速約100kmでの移動が可能だが、大砲としての能力は日本は中国よりもかなり遅れを取っている。

●SPEC比較 19式装輪自走155mm  vs  SH-16A

自走砲 19式装輪自走155mm(日本) SH-16A(中国)
全長 11.4m 非公開
全幅 2.5m 非公開
全高 3.4m 非公開
重量 25t 14t(砲塔のみ)
主砲 52口径155mmりゅう弾砲 52口径155mm榴弾砲
最大射程 約40 km 56 km
乗員 5名 2名

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。