軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■最新弾道ミサイル搭載潜水艦に新型の魚雷搭載護衛艦が対抗!!

 ロシアは2022年以降、オホーツク海全域および北方領土周辺の軍事力を強化している。

ボレイ級[潜水艦](ロシア・約450億円)※写真/ロシア海軍

 その象徴として、最新の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦「ボレイ」級をカムチャッカ半島にあるビリュチンスキー基地に5隻も配備した。極東エリアに集中配備された事実に日本政府だけでなく、すぐそばにアラスカがあるアメリカも戦々恐々としている。

 この「ボレイ」級は、潜水艦発射弾道ミサイル「SLBM」の小型化で、従来の戦略原潜よりも小さい船体としつつも弾道ミサイルを16発も搭載可能とした。

 陸上発射型弾道ミサイル「トーポリM」を改造した3M14「ブラヴァー」を運用する。このミサイルは最大射距離は1万kmと長く、核弾頭も搭載できる。「ボレイ」級は海中ミサイル発射基地となるべく長期間の潜航が可能であるうえ、発見が難しい。

 この事態に対処すべく、海上自衛隊は対潜戦闘能力が高い護衛艦「あさひ」型を造ることに。

あさひ型[護衛艦]
あさひ型[護衛艦](日本・760億円)※写真/菊池雅之

 2018年3月に「あさひ」、2019年3月に「しらぬい」の2隻が就役した。この中で、「しらぬい」は、対ロ潜水艦キラーとして、大湊基地(青森県)へと配備された。

「あさひ」型は護衛艦として初めて、潜望鏡監視レーダー「OPS-48」を搭載。海面に突き出た敵の潜望鏡を探知できる。敵潜水艦を発見すると、船体前部にある垂直発射式のミサイルランチャー「VLS」から07式垂直発射魚雷投射ロケットを発射。

 上空でロケットの中から魚雷が姿を現し、パラシュートで落下しながら海面へと着水すると、潜水艦を追いかけていく。この魚雷は最新の12式魚雷となっている。

●SPEC比較 あさひ型[護衛艦]  vs  ボレイ級[潜水艦]

対潜戦 あさひ型[護衛艦](日本) ボレイ級[潜水艦](ロシア)
基準排水量 5000t  
水中排水量   2万4000t
全長 151m 170m
全幅 18.3m 13.5m
喫水 5.4m  
速力 約30ノット 25kt(水中)
武装 62口径5インチ砲×1
高性能20mm機関砲×2
4連装艦対艦誘導弾×2
3連装魚雷発射管×2
Mk.41VLS×
SLBM×16(3 M14「ブラヴァ―」搭載)
魚雷発射管×6
乗員 約230名 約100名

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。