軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■沿岸域や島嶼部で戦う中小艦艇中国警備艦にはヘリも搭載可能!

 中国海軍は、外洋に出て戦うべく空母や大型艦艇を複数配備している。その実力は世界有数だが、こうした核心となる戦力ばかりではなく、沿岸域や島嶼部での戦闘に特化した中小艦艇も多数配備している。その一つが、ジャンウェイ型と、その改修型であるジャンウェイII型フリゲートだ。中国海軍では053H2G型、053H3型(改修型)と呼ぶ。

ジャンウェイ型(中国・価格不明)※写真/菊池雅之

 配備した目的は、沿岸域での防衛警備である。満載排水量は約2300t、全長は約115mと、かなり小型の船体となっている。だが、100mm連装砲を2門、37mm連装機関砲を4門と重武装なうえ、中国で開発した短距離対空ミサイル「HQ-7」や、「YJ-83」対艦ミサイル、対潜ロケットなどを搭載し、あらゆる海戦にマルチに対応できる他、さらには、ヘリコプターの運用能力もある。1990年代初頭に4隻、90年代後半から00年代にかけて改修型を10隻、トータル14隻を配備した。

 日本において、こうした沿岸域での戦闘に特化した護衛艦が「あぶくま」型だ。1989年に1番艦「あぶくま」が配備された。93年までの間に同型艦も続々と建造されていき、トータル6隻を配備した。

あぶくま型(日本・約250億円=調達当時)※写真/菊池雅之

 基準排水量は2000t、全長109mと、こちらも小型の船体であるが、76mm速射砲、ハープーン対艦ミサイル、アスロック対潜ロケット発射機などを配備し、対艦・対潜戦に当たる。弱点といえば、ヘリコプターが搭載できないことだろう。

 寄る年波には勝てず、「あぶくま」型はまもなく退役するが、フィリピン海軍が主として南シナ海での警戒監視用として購入することがほぼ決まった。

●SPEC比較 あぶくま型 vs ジャンウェイ型

沿岸警備艦艇 あぶくま型(日本) ジャンウェイ型(中国)
※改修型のデータ
基準排水量

2000t

満載排水量約2300t
全長 109.0m 112m
全幅 13.4m 12m
喫水 3.8m 4.3m
速力 27kt 27kt
武装

62口径76mm単装速射砲×1
高性能20mm機関砲CIWS×1
ハープーン4連装発射機×2
スロック8連装発射機×1

100mm連装砲×2
37mm連装機関砲×4
HQ-7対空ミサイル8連装発射機×1
YJ-83対艦ミサイル4連装発射機×2
87式6連装対潜ロケット発射機×1
Z-9哨戒ヘリコプター×1

乗員 120名 約170名

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。