軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■日本は規模&装備で圧倒するも艦名すら謎の戦闘艦は不気味だ

 1970〜80年代の間に、北朝鮮は2隻の「ナジン」級フリゲートを配備した。ソ連海軍の「コラ」級フリゲートに似ているが、北朝鮮国内で建造されており、完全なるオリジナルだ。複数隻が建造されたようだが、現時点までに確認されているのは艦番号「531」と「631」の2隻のみで、いずれも艦名は不明だ。

ナジン級(北朝鮮・価格不明)※写真/海上自衛隊

 配備された当時は、北朝鮮海軍で初めて基準排水量約1000tを超えた最大の艦艇ということで、世界から注目された経緯がある。

 海上自衛隊のP-3C哨戒機により「ナジン」級の鮮明な写真が撮られたのは1993年5月のこと。このとき北朝鮮は、ノドンミサイルを発射し、その支援のため日本海へと展開したところを海自が追跡した。これ以上の写真は今も出ていない。「ナジン」級は2014年に大幅な改修が加えられ、ロシア製の対艦ミサイル「SS-N-25」を搭載した模様。かなり古い軍艦ではあるが、侮れない存在ではある。

 海自で「ナジン」級とほぼ同年代の護衛艦と言えば、「あさぎり」型がある。1988年3月に「あさぎり」が就役し、最終的に計8隻が建造され、4個ある護衛隊群へと配備された。「あさぎり」型のほうがサイズも倍以上あり、対艦・対空・対潜とマルチな兵器を装備。そのうえヘリも搭載可能と、比べるまでもなく日本側が有利だ。どちらかと言うと、「ナジン」級は外洋展開を考えず対韓国海軍戦に特化した艦種だと言える。

あさぎり型(日本・約430億円=調達当時)※写真/菊池雅之

 1番艦「あさぎり」は2026年3月に退役し、このまま随時各艦退役していくと思われたが、インドネシアへと輸出される可能性が出てきたことで現在、再注目されている。

●SPEC比較 あさぎり型 vs ナジン級

フリゲート あさぎり型(日本) ナジン級(北朝鮮)
基準排水量

3,500t

1,200t(推定)
全長 137m 102m
全幅 14.6m 10m
喫水 4.4m 2.7m
速力 30kt 24kt
武装

62口径76mm単装速射砲×1
高性能20mm機関砲CIWS×1
ハープーン4連装発射機×2
アスロック8連装発射機×1

100mm単装砲×2
57mm連装速射砲×2
30mm連装機関砲×2
25mm連装機関砲×6
SS-N-25対艦ミサイル×8

乗員 220名 約180名

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。