軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■進化しつつある次世代戦闘機と冷戦時代の戦闘機の差は歴然!

 韓国は第4・5世代戦闘機の開発を独自に行い、「KF-21ポラメ(若鷹)」を完成させた。単座および複座型の試作機が作られ、2022年に初飛行に成功。その後、国内で2年ごとに開催されている航空宇宙防衛展「ADEX」にてデモフライトを披露した。26年には量産型1号機がお披露目され、今後は韓国空軍に配備されていく計画だ。現在のところ、空対空に特化した能力だが、今後は対艦・対地攻撃能力も与え、マルチロールファイターとなる。

KF-21(韓国・約127億円=標準型)※写真/朝鮮中央通信

 一方の北朝鮮空軍で、数は少ないが主力戦闘機として運用しているのが「Mig-29フルクラム」。1970年代にソ連が開発し、東西冷戦中の東側諸国へと随時配備されていった機体だ。北朝鮮では80年代にソ連から購入し、90年代以降はベラルーシからも購入。トータル約40機を運用している。この他北朝鮮空軍では、Mig-29など50年代に開発された機体が数の上では多く、朝鮮半島有事を想定すると、空軍の戦力として期待できるのはMig-29しかない状況だ。そうしたこともあり、金正恩総書記がMig-29の機体や搭載武器などを見学する機会も多く、朝鮮中央通信などで映像が配信されている。

Mig-29(北朝鮮・約50億円)※写真/朝鮮中央通信

 スペック上の戦力を比べれば、機体そのものの戦闘能力だけでなく、地上のレーダーなどとリンクして効率良く戦うことができるKF-21が圧倒的に強い。さらに輸出も念頭に入れて開発しただけあり、積極的なセールスを行い、外貨獲得も目指す。しかしながら、開発初期より参加しているインドネシアと分担金で揉めるなど、順風満帆のスタートとはなっていない。

●SPEC比較 KF-21 vs Mig-29

戦闘機 KF-21(韓国) Mig-29(北朝鮮)
全長 約16.9m 17.32m
全高 約4.7m 4.73m
全幅 約11.2m 11.36m
最高速度 マッハ1.81 マッハ2.25
固定武装 20mm機関砲
その他ミサイル
30mm機関砲
その他ミサイル
乗員 1~2名 1~2名

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。