軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■核弾頭も搭載可能な原潜に対し高性能な哨戒機が待ち構える!

 中国は、続々と潜水艦を建造している。通常動力型潜水艦から原子力潜水艦まで多種多様なラインナップの中で、日米が特に脅威と感じているのが、原子力弾道ミサイル原潜の存在だ。2007年から2021年の間に4〜5隻就役していると見られる「晋」級は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を主たる武器としている潜水艦だ。中国では「094型原子力潜水艦」と呼んでいる。

晋級(中国・価格不明)※写真/中国海軍

 この晋級は、海南島の南海艦隊基地に配備されており、12発のSLBM発射機がある。ここから撃ち出されるJL-2は、射程約6000kmを誇る弾道ミサイルで、太平洋から米本土への攻撃も可能。必要とあらば弾頭に核を搭載したミサイルも発射できる。

 原子力潜水艦は数か月にもわたり海中に潜りっぱなしでいられるので、どこに潜んでいるか分からない。海中ミサイル発射基地の所在が不明なほど恐ろしいことはない。

 こうした潜水艦を捜索するのが、日本の哨戒機「P-1」だ。海自として初のターボファンエンジン4発のジェット機で、速度と巡航高度は既存の哨戒機の約1.3倍、航続距離は約1.2倍と大幅にアップ。また、悪天候でも雨雲の上を飛ぶことができ、長時間の哨戒活動や潜水艦捜索が可能だ。さらには、イージス艦でおなじみの「フェーズドアレイレーダー」を搭載し、全周囲警戒も可能となった。コックピットの真下のボムベイ(爆弾倉)には、対潜爆弾や魚雷を搭載し、発見した潜水艦はこれにて攻撃する。

P-1(日本・約300億円)※写真/菊池雅之

 晋級の静粛性は高くはなく、P-1が見つけることは、それほど難しくないとも言われている。

●SPEC比較 晋級 vs P-1

潜水艦 晋級(中国)
水中排水量 1万2000t
全長 137m
全幅 約13m
最大速力 約20ノット
兵装 魚雷発射管×6
SLBM×12(JL-2搭載)
乗員 約140名
哨戒機 P-1(日本)
全長 38m
全高 12.1m
全幅 35.4m
最高速度 マッハ0.89
固定武装 空対艦ミサイル
対潜爆弾
乗員 11名

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。