軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■ソ連海軍の中核艦は今でも健在日本の護衛艦も実力は拮抗する

 2026年8月15日、ロシア海軍は5隻で艦隊を組んで、陸地からも確認できる距離で宗谷岬や礼文島の目の前を通過し、防衛省を震撼させた。その艦隊の中心にいたのがウダロイI級駆逐艦548「アドミラル・パンテレーイェフ」だった。

ウダロイ級(ロシア・価格不明)※写真/菊池雅之

 東西冷戦のまっただ中だった頃のソ連海軍は、対潜戦を重視しつつもマルチに戦える攻撃力や機動力を備えた軍艦を建造することを決め、1155型が完成。1980年に就役した1番艦の艦名が「ウダロイ」だったことから、アメリカは「ウダロイ」級と名づけた。その後、対艦ミサイルを搭載するなど改修した1155・1型を配備。こちらは「ウダロイII」級と呼ぶ。

 RBU-6000対潜ロケットやUPRK-5対潜ミサイル、533mm魚雷などの武器の他、対潜哨戒ヘリKa -27ヘリックスも搭載し、対潜戦にめっぽう強いだけでなく、対空ミサイルや対艦ミサイルなど、あらゆる戦闘に対応できるようにした。

 攻撃力のバランスが良いことから、ソ連海軍の中核艦として冷戦期に大活躍したのはもちろん、現在も日本海域にて示威行為を行い、日米を揺さぶる存在だ。 一方、冷戦終結後の1996年以降に就役した海上自衛隊の「むらさめ」型も、「ウダロイ」級と同様のコンセプトで建造。対潜戦を重視しつつ、対空・対艦にも対処可能で、哨戒ヘリSH-60J/Kを1機搭載している。

むらさめ型(日本・価格約600億円)※写真/菊池雅之

 さらには、海自初のステルス性を考慮した船体となっている他、対潜・対艦ミサイルをVLS(垂直発射システム)から発射するなど、新機軸をふんだんに盛り込んだ。

●SPEC比較 むらさめ型 vs ウダロイ級

駆逐艦 むらさめ型(日本) ウダロイ級(ロシア)
基準排水量 4550t
満載排水量 8500t
全長 151m 約163m
全幅 17.4m 約19m
吃水 5.2m 約7.5m
速力 30kt 約29kt
武装

62口径76mm単装砲×1
90式SSM4連装発射筒×2
Mk.41VLS×16セル
MK.48VLS×16セル
高性能20mmm機関砲CIWS×2
3連装短魚雷発射管×2
哨戒ヘリ×1

AK-100 100mm単装砲×2
AK-630 30mm機関砲×4
3K95キンジャール対空ミサイル用8連装VLS×8
URPK-5対潜ミサイル4連装発射筒×2
RBU-600対潜ロケット12連装発射機×2
533mm4連装魚雷発射管×2
哨戒ヘリ×1
乗員 165名 250名

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。