軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之が、台湾有事をはじめ、迫り来る極東の脅威と日本、アメリカ、台湾の戦力を徹底比較。独自の現地取材写真とともに解説した“リアルな戦場のテクノロジー”を読み解くコラム。

■世界2位の保有国である中国に日本は護衛艦の改修で対峙する

 海上自衛隊は、創設以来初となる“空母”を保有するため、護衛艦「いずも」型にF-35B戦闘機を搭載可能にする大改修を行っている。

いずも型(日本・1200億円※改造前)※写真/菊池雅之

 もともと全通甲板型だったいずも型は、就役前から「空母ではないか」と疑念を持たれ、それに対し防衛省は「固定翼機を運用しないから空母ではない」とかわしてきたが、その建前は大きく崩れる。空母保有の是非を問う議論すら許されなかった時代からすれば、隔世の感がある。

 そこまでして日本が空母を保有しようとしている理由は、中国海軍が続々と空母を配備しているから。中国の空母配備数は今や3隻。これは11隻のアメリカに次ぐ世界2位の保有数だ。さらに中国は新たに1隻を建造中で、それが原子力空母となる可能性が高い。そうなれば、東シナ海や太平洋のミリタリーバランスは大きく変わってしまう。

 中国の最新空母が「福建」だ。これまでの「遼寧」や「山東」にはない電磁カタパルト方式を採用している。これは、航空機に無理な荷重をかけず、電力などの消費エネルギーが少ないため、発艦間隔の短縮が図れる。電磁カタパルトは米中しか実用化できていない最新技術だ。

福建(中国・価格不明)※写真/統合幕僚監部

 搭載されるのは、最新鋭のJ-35戦闘機や、ヘリなど約50機。最大80機が搭載可能との噂もある。

 一方、「いずも」型はF-35Bを10機程度搭載すると目されている。空母の能力だけを見れば明らかに中国側に軍配が上がるが、今の日本で空母を新造することは、金銭面でも人材確保の面でもかなり難しい。一方で中国は、さらなる空母の建造を計画している。島国日本の海洋安全保障は今後かなり厳しい。

●SPEC比較 いずも型 vs 福建

空母 いずも型(日本) 福建(中国)
基準排水量 1万9500t ―
満載排水量 ― 8万t
全長 248m 315m
全幅 38m 76~78m
喫水 7.3m 約11m
速力

30ノット

30ノット(推定)
兵装 高性能20mm機関砲CIWS×2
SeaRAM×2
SH-60J/K×14機(最大)
車両約50両(3t半トラックの場合)
1130型CIWS×3
HHQ-10 近SAM発射機×4
J-35やJ-15など×80機(最大)
乗員 約470名+約400(陸自部隊等) 不明

菊池雅之(きくち・まさゆき)
軍事フォトジャーナリスト。講談社フライデー契約カメラマンを経てフリーに。陸海空自衛隊に加え、世界中の軍隊を取材。著書『ビジュアルで分かる自衛隊用語辞典』(双葉社)、『自衛隊だけが日本を救える』(光人新社)他多数。