■「クールが変わっても同じ俳優しか出ないよな」と批判的な声も

 同じ顔ぶれの俳優がドラマに出演しまくることに、一部視聴者からは、

《ドラマって、クールが変わっても同じ俳優しか出ないよな なんやったら、同じクールに違うドラマ掛け持ちとか、どんだけ人材不足なんやろ》
《何でドラマって同じ俳優しか出ないの? テレビでやってるCM見てもいつも同じ俳優を使ってるじゃん》

 といった批判的な意見も寄せられている。テレビ各局が同じ俳優を取り合うような状況になってしまったワケとはいったい――。

「今、テレビ界が、ドラマをより重視するようになってきているんです。ドラマは放送後、TVerや自局の配信サービスで配信することができますし、NetflixやAmazon Prime Videoなどにも転用できるため、2回、3回と収益を出せる。

 加えて、テレビ不況でバラエティ番組になかなか広告が入りにくくなっているという事情もある。まだドラマのほうが広告が入りやすいんです」(民放キー局関係者)

■“同じ俳優ばかり”が招く「功罪」

 電通が発表した2021年の日本の広告費に関する調査によると、インターネット広告費は前年比21%増の2兆7052億円と初めて新聞、雑誌、ラジオ、テレビの「マスコミ4媒体」の広告費を上回ったという。

「さらに、リピートでドラマに出演している俳優の特徴を見てみると、基本的に若いという点が挙げられますよね。現在、テレビ各局は広告収入に直結する13~49歳のコア視聴率を重視していますから、コア層に見てもらえる、コア視聴率が見込める俳優が優先的にキャスティングされるんです。

 特に分かりやすいのが、板垣さんや桜田さん、鈴鹿さんではないでしょうか。まだ一線級とは言えませんが『silent』という大ヒットドラマをバックボーンにしていて、“彼らが出るから見よう”となる視聴者は少なくないんです」(前同)

 テレビ各局が現在メインターゲットに据えるコア層に支持されている俳優を使えば、数字が取りやすく、逆に大惨敗する可能性も抑えることができるということだろう。

「ただ、同じ人ばかり出ていると既視感が出てしまいますし、作品も似た雰囲気になってしまいがち。結果的に視聴者が連ドラから離れていく遠因になってしまうことも考えられます。

 加えて、多様な俳優が活躍する場もなくなってしまう。テレビから離れ、映画や舞台などをメインにしていく俳優も出てくるでしょうし、“仕事がないなら……”と廃業する人も出てくる可能性もある。長い目で見ると、地上波ドラマに同じ俳優ばかり出るのは、テレビ界にとってはマイナスになっていきそうですよね……」(同)

 今夏は、1話の制作費が1億円かかっているとも言われる『VIVANT』が大ヒットを見せているが――今後、挑戦的なキャスティングのドラマはなかなか誕生しないのかもしれない。