2024年にオリンピックが開催されるフランスの花の都・パリ。世界中から観光客が訪れるその街を現在襲っているのが、大量に発生している「トコジラミ」だという。常に暖かく、様々な人の出入りがある場所で発生・繁殖しやすいトコジラミは、日本でも近年、社会問題化。とりわけ今年は新型コロナウイルスの影響で抑えられていた旅行熱が復活。かつ記録的な猛暑もあいまって、ホテルで被害を訴える声が拡散している。

 トコジラミに普通の殺虫剤は効かず、噛まれると耐えられない痒みに襲われる場合もある。駆除の実態、そして予防法はあるのか。「サウナが盲点」だと語るのは、害虫駆除のプロ、想和ホールディングス・早川佳宏代表である。

「そもそもトコジラミは戦後大流行し、衛生環境の改善や殺虫剤の普及などにより一旦は根絶。しかし外国人旅行客の増加とともに、東南アジアなどからトコジラミが持ち込まれ、それが日本で広まっている実態があります。

 これまでの殺虫剤に抵抗性をもち、農薬系の特殊な薬剤を使わないと駆除することができない“スーパートコジラミ”が激増している」

 早川氏によれば、今年手掛けた駆除件数はすでに例年の3倍近くにのぼる。ホテルのような公共施設だけでなく、一般の家からの依頼も増えているという。

「海外から持ち込まれたトコジラミを、知らず知らず自分が自宅に連れて帰ってしまっているケースが多くなっている。1日に50個もの卵を産むほど爆発的な繁殖力なので、一度持ち帰ると一気に家がトコジラミだらけになってしまう。最悪家具、寝具を捨てる羽目になることもあります」