今年、結成40周年を迎えた「たけし軍団」。師匠であるビートたけしと歩んだ破天荒な道のりは、今なお芸能史に燦然と輝く。
 前号に続き、ガダルカナル・タカ(66)、つまみ枝豆(64)、ダンカン(64)の三者に、コンプライアンスなど“どこ吹く風”な昭和テレビの舞台裏を聞いた――。

   

■紙袋の中には700万円の札束!

――そういえば、枝豆さんは、たけしさんの運転手も務めたんですよね。

枝豆 僕が運転手をしていたのは軍団に入ってすぐの2年間くらい。その間は、本当に寝れませんでした。

タカ まず、たけしさんが寝ませんから。レギュラー番組を何本もかかえて、軍団で地方にコンサートにも行って、そこから朝まで飲んだり、草野球をしたり。この人はいつ寝ているんだろうって不思議でした。

枝豆 当然、運転手はたけしさんの起床前から、帰宅後まで起きていますから。最長で、54時間一睡もできなかったこともあったな。

――壮絶な仕事ですね。枝豆さんは、軍団イチのクルマ好きとしても知られますが、たけしさんとの車にまつわるエピソードが?

枝豆 同じく、運転手をしていたある日、僕が車好きだって言ったら、たけしさんが「何が欲しいんだ?」って言うんですね。それで僕が、「ベンツです」って答えると、続けて「いくらだ?」って聞き返してきて。「700万円ぐらいですかね」ってなんとなく答えたんです。そしたら、その翌日に紙袋に入った700万円の札束を渡されて。

――ええ!

枝豆 たけしさんは「欲しいと思ったときに買うのが一番うれしいんだから、これで買ってこい!」って。

タカ それは悩むよな……本当に買っていいのか。

枝豆 とりあえず札束を家の押し入れの奥に隠して、ず~っと考えましたね。結局、1週間後に紙袋を取り出して、たけしさんを家に送り届けたときに、「すいません、これ。自分で頑張って買います!」って返すと、たけしさんが「お前ならそう言うと思ってたよ」ってひと言。その翌年、僕は自分で稼いだお金でベンツを買ったんです。

――素敵な話ですね!

枝豆 けど、当時の僕は20代の若造だから、ベンツに乗っていると上の人から、「生意気に!」ってよく言われたんですよ。そしたら、たけしさんが「いいんだよ!こいつは車が好きなんだから」ってかばってくれて。あれはうれしかったな。

■忘れられない言葉、これからの「たけし軍団」

――一番心に残った“たけしさんの言葉”を教えてください。

タカ 俺は、「芸人というのは一番立場が下の存在。そう思えば、つらいことだって頑張れるだろ。逆に、人気が出てきたときはそう思って気を引き締めろよ」っていう言葉ですね。今でも、俺は最低の人間なんだから、どんな仕事だって一生懸命やるぞって思っています。

ダンカン 俺は25歳ぐらいのとき。たけしさんと番組のネタ出しをしていて、俺が「毎日おちゃらけた企画を考えて、それが仕事になるなんて幸せだな」って言ったんです。すると、たけしさんは真剣な顔をして、「普通は大学を卒業して40年働いて、60歳の定年を迎えて、そのときに初めて、幸せな仕事だったって言うんだよ。お前も60歳までやり切ったときにそう言え!」って怒られたんです。それが、ずっと心に残っていますね。

枝豆 僕は、「もしお前らが人の上に立ったときは、絶対に下の人間に、自分のおかげだぞって言うな」です。現にたけしさんって、僕らに「俺のおかげだぞ」って一度も言わなかったんですよ。僕らすべての面倒を見てくれたし、軍団とメシに行く度にたけしさんは10万単位のお金を払っている。
でも、そうやって上の人間は下の面倒を見るもんだからって、行動で教えてくれたんです

――最後に、これからのたけし軍団について。昨今のコンプライアンスでがんじがらめの社会で、どう活動していくのでしょうか?

枝豆 僕らがコンプライアンスに配慮するのではなく、「軍団ならコンプライアンスに引っかかっても仕方ない」って世間に思わせたいですね。かつての軍団が、そんな存在だったし。

タカ 一方で、人前に出る仕事をする以上は、そこに純然たるコンプライアンスがあるのも事実です。なので、「これってコンプラに引っかかってないか?」っていう、ギリアウトかセーフかの境目を狙いながら、上手に誤魔化していきたい。俺はそこに、活路があるんじゃないかなって。

ダンカン どこまでが許されるのか、軍団でグレーゾーンを探っていきたいね!

タカ いいね! 我々もお年寄りだから本番中におしっこがしたくなるわけですよ。そこでトイレに行こうとしてつまずいて、床をジワッと漏らすこともある。これでいいんじゃない!

枝豆 君たち、「これでいいはず」ってさ(笑)。そんなことやろうとしてんじゃないよ!
     

 テレビ黄金時代を駆け抜けた“最強軍団”の活躍は続く――。

 

たけし軍団40周年プロジェクト
舞台『ウスバカゲロウな男たち』

脚本・演出:広瀬 格
【出演】ガダルカナル・タカ/つまみ枝豆/松尾伴内/ダンカン/ラッシャー板前/グレート義太夫/井手らっきょ/柳憂怜
【場所】シアターサンモール
(東京都新宿区新宿1-19-10サンモールクレストB1)

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