■「新しい文化をつくりたい」という理念がNumber_iを選んだ

 前出の芸能プロ関係者は続ける。

「新しい地図の3人がジャニーズ事務所を飛び出した2017年当時は、ジャニーズの創業者のジャニー喜多川氏(享年87)と姉の“メリー喜多川”こと藤島メリー泰子氏(享年93)が健在で、事務所は各方面に非常に強い影響力を持っていました。そのためさまざまな忖度が生じ、新しい地図の3人の起用をためらう企業も多かったと言われています。そんななかで大企業のサントリーが、いち早く彼らを起用して風穴を開けたことで、他企業もオファーしやすい空気になったと。

 サントリーは非上場企業で、自社のポリシー、マインドをより重視している企業だと言われます。広告戦略についてもそうで、大手広告代理店の意向よりも自社の考えを重視した広告、CM制作を行なっているとされ、それも新しい地図を起用できた理由の1つだと考えられていますね。芸能界で強大なパワーを持つジャニーズ事務所どうこうなどは関係なく、純粋に新しい地図の3人に魅力があり、自社商品の宣伝を託せる価値があると判断して、起用したのでしょうね」

 ジャニー氏とメリー氏がいなくなった旧ジャニーズ事務所は、23年9月にジャニー氏の加害を正式に認めたことで、信頼が失墜。その後、同事務所は消滅することとなった。

 サントリーは同月、旧ジャニーズタレントが出演する広告について「契約終了次第、起用を取りやめる」と声明を出し、サントリーの代表取締役社長で経済同友会代表幹事でもある新浪剛史氏(65)はその翌月の10月、「納得のいく説明があるまでは新たな契約を結ばない」とあらためて厳格な姿勢を明らかにしていた。以降、新会社STARTO ENTERTAINMENT(24年4月10日~)の設立後も、サントリーはSTARTO社のタレントを広告キャラクターに起用していない。

※画像はSUNTORYの公式X『@suntory』より

 今回、サントリーは、Number_iの3人を起用した理由として、《ビール類市場のさらなる活性化を目指し、新しい文化をつくりたい》という思いから、《アーティストとして新たな音楽シーンを切り開き、絶大な人気を誇る》Number_iを選んだ、と明らかにしている。

「ビアボールのコンセプト“自由な1杯”や“新しい文化をつくりたい”という理念からも感じ取れますが、サントリーは新しいことに挑戦したり、そのために何かに縛られることなく、自由に生きることを追求する企業とも言えそうです。以前からですが、忖度につき合うこともしませんよね。

 だからこそ、そうした考えにリンクする新しい地図やNumber_iのような、挑戦をし続けているアーティスト、タレントを、積極的に広告キャラクターに起用するのかもしれませんね」(前同)

 サントリーには、創業者である鳥井信治郎氏(1962年没)の口癖「やってみなはれ」というフロンティア精神がある。世界の舞台で輝けるアーティストを目指して日々邁進するNumber_iは、確かに、同社との相性はピッタリなのかもしれない――。