■欧米圏から『まんだらけ』へと来店する“アーティスト”とは

 アジア圏から店舗を訪れる来店客が独自のデザインのソフビ人形を探し求めるのに対して、特定の職業に就く人が欧米圏からの来店客には多いという。

「目立つのは彫り師の方たちですね。デザインを体に描くという仕事ですから、異国のキャラクターカルチャーに興味を持ちやすいのかもしれませんね。先日もウクライナからタトゥーアーティストの方が来店されました」(前出の『まんだらけCoCoo』藤田店長)

 国内のフィギュア収集家のみならず、国外の来店客からも熱い視線が注がれる中古ソフビ市場。高価格で取引がされるのは、どういった商品になるのだろうか。

「今、店舗の在庫にある商品で1番価格が高いのは、1970年代に売られていたオマージュ商品のガラモン(『ウルトラシリーズ』に登場する怪獣)です。発売価格はまだ決めていませんが、30万円超えでしょうか。

 当時売られていたオフィシャル商品のガラモンは人気があり過ぎて、手に入らない。そんな人がオマージュ商品を購入していたんでしょうね。当然ですが中古市場に出回るガラモンの数はオフィシャル商品に比べてオマージュ商品の方が圧倒的に少ない。マニアの方はレアリティ(希少性)が高い商品を欲しがりますので、人気商品の場合はオマージュ商品の価格も中古市場では跳ね上がりますね」(前同)

 一方で、現在、市場で進むソフビ人形の高価格化の波に藤田店長は疑問も感じているようだ。

「お店にある商品は4〜5年前に比べると、すべて倍以上の価格がついています。今の価格は少し過熱しすぎかなと……。ソフビ人形は日本の文化ですし、高価格化したタイミングで海外のお客さんだけが買っていってしまうのは寂しいですよね。国内から1つも商品がなくなってしまうと、次に海外からお客さんが来日したタイミングでも楽しませることができません」(同)

 円安の影響で現在、日本の都心部にある好立地のマンションは外国人投資家にどんどん買われているというが、ソフビ人形までも海外に流出してしまうのだろうか――。