■「ダンス企画」がZ世代に支持されるワケを元テレ朝プロデューサーが解説

 吉本興業の養成所・NSC吉本総合芸能学院でもカリキュラムにダンスを取り入れている。

「バラエティ番組で活躍するお笑い芸人も同じくレッスンを受けている人が多い。ダンスが本業の人から、そこそこ踊れる人まで差はありますが、基本的に昨今の芸能人は踊れるんです。だから番組でもダンス企画をやりやすいという事情がある。

 そして、今は『それスノ』の『ダンスノ完コピレボリューション』が大人気ですが、その対極にありそうなのが、『ロンドンハーツ』の『芸人スポーツテスト』や『アメトーーク!』(ともにテレビ朝日系)の『運動神経悪い芸人』かと。あれは運動ができない人のポンコツ具合を笑うという企画ですよね。

 一方で若いZ世代を中心に支持されているのは『それスノ』のようなダンス企画で、ポンコツさを笑うのではなく、“こんなに踊れてすごい! さすが!”という達成感やその満足感を得られるコンテンツがウケているんです」

 ダンス企画はこれまでもテレビ界で重宝され続けてきた。

中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)ではたびたび社交ダンス企画を放送。古くは『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系、1985年4月~96年10月)の「高校生制服対抗ダンス甲子園」からは今や政治家に転身した山本太郎氏(49)もブレイクを果たした。上記のような番組でもそうだったが、芸能人や若者が本番に向けて真剣に努力する姿も、“応援できる映像コンテンツ”になるようだ。

※画像は『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』の公式X『@kinsuma18_tbs』より

「音楽と踊りで構成されるダンス企画は純粋に見ていて気持ちがいいですし、高まりますよね。そしてZ世代に響いているのは、学校の授業でダンスが必修化されたからという背景も大きいでしょう。今の若者はダンスとの距離感が近く、馴染みがあるわけです。

 TikTokやインスタグラムに流れてくる芸能人やインフルエンサーの踊りを真似するのも彼らにとっては当たり前のこと。昔は足が速い男子がモテましたが、今はダンスが上手い男子・女子が尊敬の念を集めたり、もてはやされるようにもなりました。

 Z世代は日頃からダンスに触れていることもあり、その楽しさだけではなく難しさも理解している。それを、Snow Manメンバーは3分で振付を覚えてカッコよく踊れてしまう。『それスノ』のダンス企画は“推し”のすごさもあらためて実感できる構成になっていますね。そのあたりも多くの支持を集める要因ではないでしょうか」

 制作費を抑えられ、コア視聴率の中心のZ世代からの支持も得られる。ダンス企画は令和のテレビ業界にジャストフィットするコンテンツとして、作り手からも歓迎されているようだ。