■「テレビに出たくない芸人」が急増中のワケ

 芸人が出演するバラエティ番組はコンプライアンスを意識するあまり、がんじがらめになって思い切った企画、制作陣、芸人が本当にやりたい企画ができないというのも大きいようだ。

 5月12日放送の『ナスD大冒険TV』(テレビ朝日系)に出演したバイきんぐ小峠英二(48)は、最近のテレビ番組について「“女性芸人”とか“女性”って言わなくちゃいけない風潮が嫌でさ。“女”っていうのは冗談交えて言ってるけど、女性芸人って女芸人でよくない? ちょっと過剰過ぎないか?」と疑問を呈していた。

「各局にコンプラ担当がいて、企画内容にチェックが入るんです。そのチェックを通過できず、企画が流れてしまうことも多々あります。

 1月29日の『ジョンソン』は午後11時56分からの放送となりましたが、その内容はレギュラー陣が体を張って新たな罰ゲームを検証するという『罰ゲームアップデート委員会』というものでした。これもやはりゴールデンやプライム帯では過激すぎる、という理由で、深夜の放送になったといいますよ」(前出の民放キー局関係者)

※画像は『ジョンソン』の公式X『@johnson_tbs』より

 テレビ局側ではなく、芸人側の意向でバラエティ番組が制作しづらくなっているという事情もあるようだ。

「“テレビに出なくてもいい”と本気で考える芸人が増えてきているんです。特にまだ20代の若手芸人は“テレビが絶対ではない”という価値観になりつつある。最大の理由はテレビのギャラが安いからです。キー局のそれなりに名のある番組で、かなり知名度がある芸人だとしても1日中拘束されて、ロケもスタジオもやって2~3万円程度しかもらえないなんてこともよくあります。

 現在、バラエティ番組はキー局のゴールデン・プライム帯の番組であっても、かつての深夜番組のような予算で制作されているんです。若手芸人に二桁万円出せる番組なんてないでしょうね。

 そして芸人は今、劇場やライブで悪くないギャラをもらっていますし、さらにそのライブを配信もするとなったらギャラのケタは変わってきます。個々のYouTube発信もありますしね。テレビはもはや、名前を知ってもらう、健在であることをアピールするだけの場になってきているんです。

“テレビにはビッグマネーは落ちていない。だから出たくない”ということですよね。昔なら考えられないことですが、テレビ番組の出演オファーを断る若手芸人も少なくありません。結果、旬の芸人がキャスティングできないから、話題の番組が作れない。

 CMが入らず、配信でも回らない。コンプラに縛られてやりたいこともできず、有望な若手は出演を拒否する――今、芸人が中心のバラエティ番組は最悪の悪循環に陥りつつあります……」(前同)

 テレビ界は「芸人暗黒時代」に突入したのかもしれない――。