■“極セマ”物件オーナーは上場企業の役員、会社経営者がズラリ

写真提供/株式会社スピリタス

 都内の人気エリアに建てられる極セマ物件。それでも部屋の広さは3畳ほど。極めて狭い家に人は長く住めるものなのだろうか。

「入居者の方は平均して800日ほど暮らしていますね。弊社が企画する建物は、ロフトスペースを4.5平米設けています。3畳分の居住スペースとロフトスペースをあわせれば部屋の広さは13.5平米。トイレとシャワールームを分けることで入居者の快適さも追求しました。

 40年ほど前、バブル期にもユニットバスを採用した13平米ほどの物件が多く作られましたね。23区内の好立地物件であれば、築年数40年ほど経ったバブル期の物件でも家賃6万円ほどで借り手がつきますし、極セマ物件の需要は十分にありますよ」(前出の仲摩代表)

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 そんな話題の物件のオーナーになるのはどの様な人たちなのだろうか。

「上場企業の役員の方や会社経営者の方が多いです。それ以外ですと、外資系企業にお勤めの方やお医者様が多いですね」(前同)

 富裕層がこぞって投資対象として目を光らせるという極セマ物件。投資物件として人気の理由はどこにあるのだろうか。

「不動産投資で1番重要なのは立地です。立地は後から変えることができないからです。人口が増えていて、資金も集まり、その資金が、インフラなどに投資されているエリアは不動産の価格が上がります。日本国内だと都内23区で、その中でも最も不動産価値が高いのが山手線の内側の都心部です。そういったエリアは、賃貸でも非常に人気ですが、家賃が高すぎて、多くの若者は住むことができません。

 狭い部屋を中心とした物件を作れば、手頃な家賃で入居者は住むことができますので、入居率は高くなります。また、投資の観点から考えますと、部屋のサイズを半分にしても、家賃は半分にはなりません。極セマ物件を中心に物件を建設した場合、世帯数も一般的なワンルームで企画した場合の“2倍以上“になりますので、収益性(利益率)が高くなり、投資対象として有効な物件になるというわけです」(同)

 また、極セマ物件を所有することでオーナーが得られるメリットも大きいという。

「入居者の方の多くは、2〜3年で退去されますので、設備の劣化が少なくて済みます。部屋のサイズがコンパクトですので、クリーニングに掛かる費用も安くて済みますし、原状回復費用もほとんどかかりません。そして何より、やはり立地が抜群。1年中需要があるエリアに建築してますので、空室なっても、すぐに次の借り手がつきます」(同)

「狭い家」人気の答えは、借り手の懐にも貸し手の懐にも優しいからのようだ。