■局が掲げる防災意識とも矛盾

 放送法とは日本放送協会・放送・放送事業者について定めた法律のこと。条文の第108条では、こう定められている。

《基幹放送事業者は、国内基幹放送等を行うに当たり、暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない》

「もちろん、『24時間テレビ』を放送する日テレは報道機関としても防災意識はしっかりしている局です。昨年10月からは災害速報やライフライン情報を常時配信するウェブサービス『日テレ 気象・防災サイト』を、報道系ベンチャーのJX通信社と共同で扱っています」(前出の制作会社関係者)

 同ウェブサービス立ち上げ時には「地震や台風といった災害に対し、避難行動などの行動変容につながりうる必要不可欠なインフラ」だと明言もしていた。そんな局が、台風が猛威を振るう状況で『24時間テレビ』でマラソン企画を強行するとなったら、局が掲げる防災意識と大きく矛盾したことになってしまうだろう。

「今年のチャリティーマラソンは公道を走るのではなく“運動場で400mのトラックを12週半グルグル回る”という内容だと一部で報じられています。しかし、公道だろうが運動場だろうが、いくら安全対策をしていようが、“台風が来ているのに外で走っている”という時点で放送法の《被害を軽減するために役立つ放送》とは大きく矛盾しますよね。

 やす子さんが、荒れた天候のなか外で走っている姿をテレビで見て、刺激を受けた子どもたちが外に出て走る、なんてことが起きれば、日テレとしては弁明のしようもないでしょう」(前同)

※画像はやす子の公式X『@yasuko_sma』より

 もちろんニュースでは台風のことを注意喚起をするだろうし画面端に気象情報などを流す“L字放送”をする配慮なども考えられるが、同時に屋外でマラソンしているやす子を応援するような内容を放送しては、やはり矛盾が生じてしまうだろう。

「やす子さんはチャリティーマラソン本番に向けて、イカの丸焼きや豆腐、納豆――“お酒のあて感”がすごいと疑問やツッコミの声が出るようなダイエットメニューで、身体を絞り、頑張っている姿をXで報告していました。

 そんな彼女の努力を無駄にしないために、落としどころとしては室内、体育館などのようなところでのマラソン企画になる可能性もありそうですが、そうなるとさらにマラソン感が薄れて“やる意味あるの?”という声が出かねないでしょうね。懸命に走るやす子さんには気の毒ではあるのですが……」(同)

 放送まで1週間を切っているこのタイミングで徐々に接近してくる巨大台風――日テレはどんな決断を下すのか。