■NHKですらパラ五輪の放送時間は80%以上削減

 21年に開催された東京大会で、公共放送のNHKはおよそ670時間もの放送時間をパラ競技に割いたのだが、パリ大会では一転。その放送時間は約79時間にまで減少している。NHKですら大幅に放送時間を削減させなければならないほどに、現在、海外からの国際大会中継には莫大な予算が掛かるのである。

 その一方で、8月31日から9月1日にかけては、『24時間テレビ』(日本テレビ系)が放送され、障がい者への福祉問題なども大きく取り上げられることに。現に、ひろゆきこと実業家の西村博之氏(47)は30日にX上で《24時間テレビで障害者を取り扱うなら、パラリンピックを中継すれば良いのに。。。》という指摘を書き込んでいる。

「この指摘は正しいと思いますね。チャリティーが番組のテーマなのですから、パラ五輪を盛り上げるためのコーナーを番組内で設けても良かったと思います。

 何よりパラ競技の扱いがテレビで減ると後進選手の育成にも影響を与えます。男子の車いすテニスでは出場した日本人選手4人全員が、3回戦まで進出しましたが、これだってパラリンピックで4個の金メダルを獲得した国枝慎吾さん(40)の活躍があったから。障がいを持った子に“僕もできるんだ”って希望を与える様な番組作りをテレビマンが諦めたらダメでしょう」(前出の鎮目氏)

 様々な事情が重なり、メディアの注目が集まりにくいパラスポーツ。4年に1度のパラ五輪の機会だけに選手の活躍に注目したい。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)