電車内が混んでいるのに、堂々と優先席に座るサラリーマン、若者、インバウンド外国人などの姿が目立つ──。
最近、このような声がよく上がるようになってきた。が、電車やバスの優先席はあくまでも「優先すべき席」。混んでいても周囲に高齢者、妊婦、体の不自由な方などがいなければ、健常者が座ってもOKだという意見もある。
このあたりのレギュレーションはどうなっているのか?
JR東日本と東京メトロに問い合わせ、メールで回答してもらった。
■ピクトグラムや多言語案内アプリで外国人にも対応
まず「優先席を譲らない人が増えている」という現状に対して、東京メトロ広報部は《優先席のみならず全ての席において譲り合いの心でご利用いただきたく、車内放送やポスター等でマナー向上のお願いをしております》とした上で、《マナーにつきましては法に基づいた規定がないために、最終的にはお客様個々のモラルに頼らざるを得ないことが多く、対策には非常に苦慮しております》と立場を説明。
JR東日本コーポレート・コミュニケーション部門もほぼ同内容の回答で、《優先席を必要とされるお客さまにご利用いただけるよう、引き続き国土交通省や他の鉄道事業者と連携しながら、駅・車内放送やポスター等で、周囲のお客さまへの譲り合いのご協力促進について広く呼びかけを実施しています》としている。
インバウンドが増加する今、日本語が読めなかったり、日本の文化を知らない外国人の乗客に優先席を周知させるのは大きな課題といえるだろう。
この問題についてJR東日本からは《優先席ステッカーには英語表記及びピクトグラム(情報や注意をうながすための視覚記号のこと)を活用しています》と基本姿勢を示しつつ、《全社員に貸与しているタブレットに多言語案内アプリを配信しており、マナー啓発の放送を日本語だけでなく、英語をはじめ様々な多言語案内が実施できる環境を整備しています》と積極的にマナーを啓蒙する考えを見せた。
一方の東京メトロは英語だけでなく、中国語や韓国語も車内のステッカーに表示していることをアピール。《当社ホームページにて多言語で優先席についての解説を掲載しております》と解説してくれた。
たしかに同社のホームページを見ると、英語、韓国語、中国語(2種類)、タイ語、フランス語、スペイン語にも対応。日本に来たばかりの外国人としては助かるだろう。