■複雑化した権利問題

 ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)が昨年10月にジャニー喜多川氏(享年87)の加害問題で消滅する前は、SMAPの映像・画像は同事務所に許可取りを行ない、OKが出れば使用することができたとされるが、現在のSMILEーUP.はジャニー氏の被害者への補償会社であり、芸能事業から撤退している。

 また、STARTO ENTERTAINMENTは旧ジャニーズタレントの新たなマネジメント会社だが、ジャニーズ事務所やSMILE-UP.と関係性がないというスタンスである。

「SMAP全体の映像の権利を保有・管理していた旧ジャニーズ事務所の関連会社『株式会社ジェイ・ドリーム』は、SMAPのチーフマネジャー・I氏の退社後に休眠状態に。その後は旧ジャニーズ事務所の元副社長のS氏が代表を務めていましたが、彼も加害問題の影響で身を引いたことで、スタッフが不在なのに会社を畳むこともできず、誰もいない幽霊会社になってしまった。

 つまり、SMAPの過去映像を使用していいのかどうか、『ジェイ・ドリーム』に確認できなくなってしまったということですよね。S氏がジャニーズの副社長としていた頃は、同時に彼は『ジェイ・ドリーム』の代表だったわけで、映像使用の許可が出せたのではないでしょうか」(前出の芸能プロ関係者)

 ジャニーズ事務所が消滅し、ジェイ・ドリームが幽霊会社となった現在、SMAPの過去映像を使用するには、STARTO社を窓口に木村拓哉(51)、I氏が稲垣吾郎(50)、草なぎ剛(50)、香取慎吾(47)と独立して立ち上げた「CULEN」、独立した中居正広(52)の個人事務所「のんびりなかい」、少なくとも3社の許可取りが必要になるとも言われている。

「STARTO社はエージェント会社のため、あくまで窓口に過ぎないと思われますが、3社に確認するだけでも手間がかかりますし、過去映像を使用する必然性が感じられなければ承諾されないこともあるでしょう。

 大きな音楽特番などであれば許可が出る可能性もあるでしょうが、ここにきて連続でゴールデン特番の、それも旧ジャニーズタレントの冠番組でさえ映像が使われなかったと。また、“ある制作会社がSMAPの映像使用を希望した際にかなりの額を請求された”という話も業界で出回っていますね……」(前同) 

 SMAPの過去映像の使用は許可取りが面倒でカネと時間がかかる――それが業界内で周知されていくと、制作サイドは最初からSMAPの過去映像の使用を避けて、他の方法で対応しようとするようになるだろう。

「年末には『NHK紅白歌合戦』や『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)、『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト』などなど多くの大型音楽特番が放送され、そこでは過去の名曲が紹介されることも多い。しかし、許可取りが複雑化して困難である以上、そういった番組でもSMAPの歌唱映像が見られない――そうした展開も起こっていきそうですね……」(同)

 5人の再集結が叶わないなら、せめて過去の映像を――そう願うファンは多いだろうが、現実は厳しそうだ。