首都圏を中心に、連続発生している“闇バイト強盗事件”。東京都国分寺市、埼玉県所沢市、千葉県船橋市などで民家が襲われるなか、神奈川県横浜市青葉区では75歳の男性が殺害され、殺人事件にまで発展した。顔や手足を縛られており、死因は全身打撲による出血死だったという──。
狙われるのは高齢者の住む家だが、防犯アドバイザーの京師美佳さんは、発生エリアの特徴を指摘する。狙われやすい共通点と、今日からできる防犯対策を聞いた。
「強盗事件は8月以降、首都圏を中心に連続発生しています。当初は中古ブランド品店などが狙われていましたが、9月半ばごろからは高齢者の住む一般住宅を襲うようになっている。実行犯はいずれもSNSなどで募った闇バイトで、指示役には“トクリュウ”と呼ばれる匿名・流動型犯罪グループの存在があるとみられています」(全国紙記者)
横浜市青葉区に実家のある男性は、「青葉区は元々新興住宅地として開発されたエリアも多く、絶妙に“都会の田舎”。大金持ちはいないけど、そこそこお金を持っていて、治安もまあまあよいという街です。まさかそんな凶悪な事件が起きるとは」と驚くが、京師さんは、「まさにその穏やかさが今回事件が起こっているエリアの共通点」だという。
「2022年から2023年、SNSで集めた闇バイトが実行役となって、高額の金品強奪を繰り返した”ルフィ広域強盗事件”と今回の一連の強盗事件で圧倒的に異なるのは、必ずしもお金持ちをターゲットにしているわけではないという点です。大金を狙うわけではなく、穏やかな街に住む高齢者の数万円から数十万円を目当てにしていて、百万円以上は“あればラッキー”という感覚でしょう。
新興住宅地をはじめとした郊外の住宅街はこれまで凶悪な事件もなく、街なかに防犯カメラがないことも多いです。さらに30年前に建てられたような一戸建てはセキュリティ面に対する配慮が弱い。加えて、住民の高齢者は現金世代で家に現金をおいているので、犯罪者にしてみれば“空振り”がないという構造です」(京師さん=以下同)