■ヒロインの美しさと原作をリスペクトした作風も話題に

■ヒロインや劇中アイテムのビジュアルの良さ

『ウイングマン』が話題になっている3つ目の理由は、懸念材料だったヒロイン・アオイ、彼女の持つ重要アイテム「ドリムノート」と、実写化の意外な相性の良さだ。

『ウイングマン』に限らず、漫画作品を実写化するとコスプレ感が否めなかったり、劇中アイテムが安っぽく見えたりすることを不安視するファンは多い。

 実際のところ、加藤演じるアオイの青みがかった銀髪のショートヘアや、白を基調とした露出度の高い衣装に対して、コスプレ感を指摘する声もある。しかし、それでも加藤はしっかりと実際にいそうな感じまで落とし込んで着こなしているほか、コスプレ感は演出で上手くカバーされていた。主人公が初めてアオイを見た時に「なんてカッコいいコスチュームなんだ」「相当な特撮好きだな!」と挟むことで、劇中でもコスプレ感があることを暗にほのめかしたのである。

 実写版の衣装はアオイ役の加藤の健康的なプロポーションも手伝い、

《アオイさん役の女優さんの腹筋に見惚れてしまった》
《アオイさんのスーツの絶妙なフィット感と腹筋を見て…美しかわいい…》
《思った以上にちゃんとウイングマンだった。 アオイさんの腹筋がすげえ》

 と、大好評。たしかに、引き締まった腹筋はすごい。

 また、本作のキーアイテムである「ドリムノート」および「ドリムペン」は、実写版では原作に比べて非常にゴテゴテしていて、ノートの表紙は装飾でかなり分厚くなっている。ペンも実用性に欠けているデザインだが、これは特撮作品のアイテムとしては、むしろ“アリ”。こういった印象的なデザインのアイテムは強いニーズがあり、

《ドリムノート、早く商品化してくださいね》
《DXドリムノートとか出ないかなぁ(※『DX』は特撮玩具あるあるの枕詞)》
《ドリムノートとドリムペンと健太のバック(通学バッグ)、プレバンさん(バンダイの通販サイト)ならやってくれるはず!》

 と、商品化を望む声も多い。実写版の「ドリムノート」はリング式――ページを消耗しても、中身を交換できる形状だけに、ぜひ商品化して欲しいものだ。

■原作者をリスペクトした良アレンジ

 そして、『ウイングマン』が沸騰となっている最後の理由は、“原作者ファースト”​でしっかりとドラマが作られている点だ。

 本作は主人公の年齢が中学生から高校生になっているほか、多くの部分が原作から変更されている。当初は反発の声もあったが、そういった箇所は原作者・桂氏がすべて関わり、意見し、「総監修」として、設定やアイデアを加えていることが明かされているため、安心して視聴できるところがあるだろう。

 実際に第1話を見ると、原作を考えると後に整合性が怪しくなる描写が改善されているほか、現代のコンプライアンスでは無理であろう「お色気」の描写がかなり抑えられていた。しかも、原作の“主人公がアオイの露出度の高い服装に赤面する”という描写が“衣装のカッコ良さからアオイも特撮好きだと勘違いする”にアレンジされたことで、主人公の株を落とさず、特撮好きという設定の補強にもつながっていた。総じて、実写化にあたり“良改変”とも言える箇所が多いのだ。

 桂氏は10月8日の記者会見にて、

「原作と全く一緒というのは、僕は無理な話だと思ってるんです。だから、見てる人に原作の匂いを感じてもらいながら、原作と一緒の良さを伝えるにはどうしたらよいかを考えていました」

 と、コメントしている。

 1時間ドラマではなく30分ドラマというのも特撮らしさがある『ウイングマン』。第2話以降も、注目したい――。

特撮ライター・トシ 
幼少期に『仮面ライダーアギト』を観て複雑なシナリオに「何かとんでもないモノがスタートした!」と衝撃を受ける。その後、歳を重ねても熱量は衰えず『クウガ』から始まる平成仮面ライダーシリーズと現在も歴史が続く令和ライダーはすべて履修し、『スーパー戦隊シリーズ』、平成以降の『ウルトラ』シリーズも制覇済み。『仮面ライダーゴースト』の主人公の決め台詞でもある「俺は俺を信じる!」を座右の銘に仕事に全力全開。