令和6年も間もなく終わりに近づきつつあるが、世は“昭和レトロ”がトレンドだ。
「レトロ回帰のブームはたびたび起こりますが、荻野目洋子(55)の『ダンシング・ヒーロー』を使った“バブリーダンス”が2017年に話題になったあたりから、昭和・平成の文化に再注目する流れが続いています。昔ながらの喫茶店や地域に根差した中華料理店が話題になる“純喫茶ブーム”や“町中華ブーム”を始め、昭和歌謡、昭和レトロファッションなども盛り上がっていますね」(全国紙経済部記者)
トレンドに敏感な外国人観光客からの需要もあるというが、こうしたレトロブームはとくに若者世代が牽引しているという。若者文化や流行の最先端に詳しいトレンドアナリストの太田まき子氏が解説する。
「純喫茶でクリームソーダを飲むというのが18年頃に流行しましたが、これは“インスタ映え”するから。『エモい』という言葉が広く使われだしたのも18年頃だと思いますが、“エモさ”をSNSで共有する動きがレトロブームを促進しているのでしょう。昭和末期に発売されたインスタントカメラ『写ルンです』もこの時期にブームになり、以降はスマートフォンでもフィルムカメラで撮ったような質感を再現するアプリが若者の間でずっと人気。24年は『OldRoll』というアプリが話題になりました」(太田氏=以下同)
昭和歌謡もTikTokでのダンス動画きっかけで若者人気が高まっている。
「ラッツ&スターの『め組の人』は、倖田來未バージョンが18年になってTikTokで女子高生の間で流行し、21年末の『NHK紅白歌合戦』で披露されるなどオリジナルも再ヒットに。最近だとチェッカーズの『ギザギザハートの子守唄』や、テレビアニメ『うる星やつら』のオープニングテーマ『ラムのラブソング』なんかもTikTokで流行りましたね」
こうしたレトロブームの中で、“昭和”なアイテムを取りそろえる蚤の市『昭和レトロ市』も注目を集めているようだ。
「東京・葛飾区で『葛飾☆昭和レトロ市』が23年から始まるなど、昭和レトロのブームが後押ししてか全国各地で同様の蚤の市が開催されており、掘り出し物を見つけようという若者の姿を見る機会も増えてきました。Z世代に特化したマーケティングチーム『SHIBUYA109 lab.』が発表した今年のトレンド予測にも『蚤の市』が上がっているくらいです」
なかでも息の長いレトロ市が、16年から始まり、19年から東京・日本橋の綿商会館で年2回ペースで続いている『昭和レトロ市』だ。24年10月26日・27日の開催で第24回と、長らく支持されている。
この『第24回昭和レトロ市』に実際に足を運んだという太田氏。会場はどんな雰囲気だったのだろうか。
「昭和世代の方に混ざって、20代ぐらいの若い人たちや、外国人の姿もあり、にぎわっていましたね。若い人ではオシャレな雰囲気の男女カップルも見ましたが、昭和レトロファッションに身を包んだ女性も多かった印象です。SNSでつながっているのか、『この前はどうも』『久しぶり』といった挨拶を交わしていましたね」