飛田新地──日本最後の遊廓とも言われている、大阪・西成区の歓楽街だ。店が軒を連ねるエリアは“撮影禁止”がルールとされるが、SNSの普及や訪日外国人観光客の増加で、“掟破り”の動画が恒常的に投稿されているのだという。
そもそも飛田新地とは、
「飛田新地には百数十軒ほどの店があるといわれ、いずれも『飛田新地料理組合』の加盟店。店の看板としては“料亭”です。営業時間になると建物の通路に面する玄関が広く開け放たれ、奥に若く美しい女性が鎮座しているのが見えますが、この女性は“仲居さん”という位置づけ。その隣に高齢女性が座って道行く客を呼び込むのですが、あくまでも客と“仲居さん”が一瞬にして恋に落ちる“自由恋愛”というスタイルです」(大阪在住の社会部記者)
1918年から続くというレトロな街並みに並ぶ家屋のなかで化粧を施し、艶めかしく微笑む女性たち。異世界に迷い込んだような空間に思わずカメラを構えたくなるが、飛田新地料理組合は、飛田新地内は路上も含めて「撮影禁止」としている。実際、撮影しようとするとすかさず怒号が飛んでくる。前出の社会部記者が言う。
「店があるエリアは至るところに撮影禁止の表示がなされ、カメラやスマホを向けようものなら、呼び込み役の高齢女性から『撮影禁止だよ!』という声が飛んできます。女性たちを撮っていなくても、とにかくそのエリア一帯が撮影NG。自撮りであっても街が写り込むこと自体アウトで、場合によってはスマホをしまうように執拗に促されることもあります」(前同)
そんな飛田新地は、実際に足を運んだことがある人以外にとってはベールに包まれた場所であり、公的なメディアに映し出されたのは数えるほどしかない。しかし――。
「携帯電話やスマホの登場で写真撮影が手軽になり、YouTubeやTikTokといった動画メディアも広く普及すると、飛田新地に“潜入”し、その雰囲気を撮影する人たちが続出。店の外観だけでなく、家屋の中までわかるようなものも投稿されています。外国人観光客も写真や動画を撮影しては、ネット上にアップしているのが散見されます」(WEBメディア編集者)