■「飲むマヨ」が2口目に進めないのに「バズった」理由

 まず田矢さんは、自身も「飲むマヨ」を飲んでみた率直な感想として「自分はマヨネーズ好きだと思っていたけど、“マヨラー”じゃなかったことがわかった」と笑う。

「マヨネーズの香りがあるので、最初のひと口めまでは薄いマヨかなと思ったけど、続けると酸っぱさが気になって、一発で飲み切れない。少しずつなら多少飲めたけど、飲むのにここまで苦戦したドリンクは初めてですね(笑)」(田矢さん)

 数多のコンビニドリンクを口にしてきた田矢さんも苦戦したという「飲むマヨ」。Xにも《テスト段階とはいえよくこれで売り出そうと思ったな》という声が上がるほど、口に残る“酸っぱさ”が2口目を阻害するようだが、田矢さんは、「狙ってやったのか狙ってないのかということがキモ」だとその戦略性を指摘する。

「これまでにもキュウリ味のコーラ『ペプシアイスキューカンバー(サントリー)』や、『ガリガリ君リッチ ナポリタン味(赤城乳業)』、ペヤング史上最強の激辛商品『ペヤング 獄激辛やきそば(まるか食品)』など、食品業界のチャレンジ商品は定期的に出るものです。ただ、今回の『飲むマヨ』は本気で売れ筋を狙った結果なのか、おもしろ商品なのかがわからないところも話題作りに一役買っていると思います」(前同)

 田矢氏は、ここまで「飲むマヨ」が広がった背景について、昨今の“バズり装置”として欠かせない「ショート動画」の存在を挙げる。

「マズいというオチがわかっていてもいなくても、“気になる商品”であることは間違いなく、またそれにチャレンジする姿はショート動画との親和性がとても高いですよね。一口飲んでむせ返るような仕草だったり、微妙な表情などを短い尺の映像で訴求できて、どんな人が飲んでも反応が動画映えする。それが、おいしい・おいしくないに関係なく、自分も乗っかりたいという心理を拡散しています」(同)

 また、こういった取り組みが「味の如何に関わらず企業にとってプラスになる」と語るのは広告代理店関係者だ。

「おもしろ商品でバズる、その話題性により“面白い取り組みをする会社”なのだと認識されます。このこと自体が企業の認知向上とともに好印象をもたらすので、“いい宣伝”になったのではないでしょうか」(前同)

 製造したトーヨービバレッジは、2006年6月、オリジナル飲料の開発メーカーとして創業。さまざまなカフェとコラボした飲料を数多く手がけるほか、近年は「パインアメドリンク」「桔梗屋黒蜜きなこラテ」「飲むプリン」「飲むソフトクリーム」など、「ドリンクになったらおいしいのに!」というスイーツ飲料も多数展開してきた。これらは、いずれも好評を博してきた。

 確かに、SNSには味に対する厳しい意見もあるが、中にはこんな感心の声も。

《これを飲み物にする商品開発部はほんとすごいと思う》
《すごい挑戦ドリンク開発したね》

 最後に、田矢氏に「飲むマヨ」を完飲する方法について聞いてみた。

「シロップ感覚でコーヒーやコーラに足してみるのはありかもしれません。あとは消費期限が2月まであるので、もしまだ残っている店舗があればゲーム用に買っておくと、パーティーが盛り上がることは必至です」(前出の田矢氏)

 テスト版とあって、X上には売り切れを報告する声も多く、早くも入手困難となっている地域もあるようだ。もう二度と出会えないかもしれない伝説のドリンクになるのか、改良版が出るのか。いずれにせよ歴史的な体験をするなら、今しかない。