■暴露系インフルエンサーが「デマ」を拡散した時の賠償額は
デマを拡散された側が訴える「法的措置」として考えられる具体的な内容は、名誉毀損による損害賠償請求と刑事告訴だ。河西弁護士によれば、賠償金額は投稿に“断定的表現”が用いられたか、“謝罪”の有無、拡散媒体などによって変わってくるという。
「まず、折原氏はすでに謝罪発表をしているので情報の真実性は争点にならないと思われます。今回は折原氏の投稿が大野さんの名誉を毀損した程度が問題となりますが、大きなポイントは表現内容や謝罪訂正の有無です。
名誉毀損というのは、社会的評価を下げる事実を適示する行為を指しますが、折原氏側の言い分として想定されるのは、あくまでも【未確認情報】であると再三強調し、確定的・断定的な表現は一切使用せず、『詳細調べている』という表現に留めているということでしょう。
さらに、速やかに自らのアカウントで謝罪発表を行ないました。これらのことを踏まえると、名誉毀損になる可能性は十分あるものの、認められる賠償金額はさほど高くはならないかと思います」(河西弁護士)
暴露系インフルエンサーという影響力は、どう捉えればいいのか。
「情報を伝えるメディアにはテレビ、新聞や週刊誌、インターネット掲示板、SNSなどさまざまですが、そのうち、電波という有限の資源を使うテレビは公共性が高く、放送法による規制があります。一方で、紙媒体やネットについては表現の自由を制限する特別な法律はありません。
今回の特徴は、そもそものタレコミがあり、断定的な表現を用いず、すぐに謝罪をしている。有名インフルエンサーではあるものの、発信媒体はSNSであることを考慮すると、現実的な慰謝料金額は100万円以下になるだろうと思います」(前同)
加えて、大野は現在、芸能活動休止中だ。河西弁護士は、「松本さんは活動できない期間の休業損害も求めることがあり得ましたが、大野さんは活動休止中なので休業損害というのは想定しにくく、慰謝料の範囲に賠償額も留まる」と話す。
「STARTO社が訴訟提起しても、同社への具体的なメリットは想定しにくいというのが正直なところです。ただ、それでも声明を発表した意義は、投稿内容を完全に否定すること、名誉毀損行為について毅然とした態度を示すことだと思います」(前同)
大野が2020年12月31日をもって芸能活動を休止してから丸4年。これまでに沖縄・宮古島で生活する姿やタトゥーが入っている姿がキャッチされてきたものの、公の場にはいっさい姿を見せていない。今回の一大騒動は、大野が国民的な存在であることを改めて裏付けたとも見ることができるが、ファンは元気な姿を再び見られる日を心待ちにしている。