■年賀はがきでもメールでも書き方は変わらない

 問題は年賀状をやめる際のフレーズである。デジタルに切り替える場合は「今年からはメール(LINE)で新年のご挨拶とさせていただきます」。

 年賀メールすらも辞退したい場合は「ご挨拶は来年から失礼させていただきます」あるいは「お年賀は失礼しますが、これからもお付き合いのほど、よろしくお願いします」などと断るのが望ましいとのことだ。

「はがきからメールやLINEに切り替えるのは大いに結構だと思いますが、そこで書き方自体が大きく変わることはないんです。たとえば“迎春”といった2文字は目上の人に対して失礼。ちょっと硬いけど、“謹賀新年”と改まった表現をしたほうがいい。迎春というのは単に“春を迎える”ということであって、“謹んで新年のお祝いを申し上げます”という意味がある謹賀新年とは全然違いますからね。こうした挨拶の言葉“賀詞”に加えて、“今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます”といった“添え文”もバランスよく書く。そして最後に“令和7年元旦”と締めるのが基本形となりますかね」

 年賀状は「こうしなくてはいけない」という明確な決まり事があるわけではないが、相手が不快に思う可能性がある文面は使わないほうが無難。そこを守ったうえで省エネに徹するのが賢者のやり方といえそうだ。

岩下宣子(いわした・のりこ)
共立女子短期大学卒業。キッコーマン入社。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流小笠原清信氏のもとでマナーを学び、1985年、現代礼法研究所を設立。マナーデザイナーとして、企業、学校、商工会議所、公共団体などでマナーの指導、研修、講演と執筆活動を行う。