■世界的人気に火をつけた要因とは
もとは1996年にゲームボーイソフトとして任天堂から売り出されたポケモン。なぜ、これほどまでの人気を得るに至ったのか。
その理由を、エンタメ社会学者の中山淳雄氏がこう解説する。
「大きな理由に挙げられるのが、 “メディアミックスの成功”ではないでしょうか」
1996年2月にゲームソフト“ポケットモンスター”として世に出た「ポケモン」だが、同年4月に『月刊コロコロコミック』で漫画連載、1997年4月にはアニメ『ポケットモンスター』(テレビ東京系列)がスタート。最高視聴率は18.6%と、瞬く間に子どもたちの心を掴んでいった。
「ゲーム、漫画、アニメ、映画といった様々な “メディアミックス”こそ、ここまでの認知度を高められた秘訣なんです」(前同)
この“メディアミックス”戦略は、現在のスマホゲーム展開にも当てはまる。
「ブームが去った2000年代後半から2010年代前半まで、業績は赤字のときすらあったんです。そこで、2016年『ポケモンGO』。映画、家庭用ゲーム、スマホゲームからカードゲームに展開するメディアミックスで、また売上げを取り戻したのです」(同)
最後に中山氏は、「今後ポケモンが目指すもの」についてこう分析する。
「ポケモンが狙うのは“ミッキーのような存在”。どのような層の人にも親和性のある存在であり続けようとしています。“100年続くキャラクター”こそ、ポケモンの目指す未来ではないでしょうか」
愛されキャラクターであるポケモンたち。これからも我々のそばにいる存在であり続けるに違いない。
中山淳雄(なかやま・あつお)
エンタメ社会学者。事業家(エンタメ専業の経営コンサルRe entertainment創業)やベンチャー企業役員(Plott、ファンダム)をしながら、研究者(早稲田博士・慶應・立命館大研究員)、政策アドバイザー(経産省コンテンツIPプロジェクト主査、内閣府知財戦略委員)などを兼任し、コンテンツの海外展開をライフワークとする。主な著書に『クリエイターワンダーランド』『エンタメビジネス全史』『エンタの巨匠』『推しエコノミー』『オタク経済圏創世記』など。