■子供服売り場で電子タバコをプカプカ
連日外国人観光客による爆買いツアーが敢行されている都内の銀座や新宿でも、迷惑行為は散見されている。
「昨年度過去最高となる3758億円を売り上げた新宿伊勢丹では、8月に階段での飲食や座り込み行為に対して中国語で“注意喚起”の貼り紙が掲示されました」(前出の全国紙経済部記者)
その実情を館内で働く店員の1人が話す。
「階段に座り込んで弁当を食べていたり、ゲームをしているのは日常茶飯事。子供服売り場で電子タバコらしきものを吸っている人を見かけたときは、さすがに絶句しました」
各地で問題噴出の外国人観光客による悪行三昧。外国人観光客の訪問地として人気トップでもある京都では、対策を取り始めているという。元京都市議で『京都が観光で滅びる日 - 日本を襲うオーバーツーリズムの脅威 -』(ワニブックス)などの著書がある村山祥栄氏が話す。
「伝統的な歓楽街である祇園エリアで継続的に問題になっていたのは、住宅地などで住民を無視してあちらこちらで写真を撮る、舞妓さんなどに写真撮影を強要するなどの行為でした」
一連の行動に対し、地元住民も黙ってはいない。私有地や私道での写真撮影を禁止する看板を地域に多く立てかけたことで、状況はかなり好転したそうだ。
「錦市場や清水寺周辺、伏見稲荷大社といった観光名所では、“食べ歩き”によるトラブルやポイ捨てに苦情が殺到。行政が管理しているごみ箱も時間によっては2時間程度で一杯になるなど課題もありました。それでも、店舗側がイートインスペースを確保したり、遠隔でごみ量を確認し収集、内部で圧縮できる“スマートゴミ箱”を設置することで、徐々に改善傾向にあります」(前同)
とはいえ、これらの“迷惑行為”を根本的に解決するには日本へと外国人観光客が殺到している、“オーバーツーリズム”への対策が必要だ、と村山氏は語る。
「市民が一番“迷惑”に感じているのは、公共交通機関の混雑です。観光客がキャリーケースを持ったままバスに乗るので乗車人数も限られる。京都市も“手ぶら観光”のすすめとして、京都駅に手荷物預かり所を設置し、ホテルへ配送するといったサービスに取り組んでいますが、根本的な解決には至っていませんね」
観光立国を目指して国が掲げる訪日外国人観光客の数は2030年までに6000万人。地域で暮らす住民と日本を訪れる観光客との折り合いをつけるためにも、オーバーツーリズムの対策は早急に考えた方が良さそうだ。
村山祥栄(むらやま・しょうえい)
1978年京都市左京区生まれ。専修大学法学部在学中に衆議院議員松沢成文氏の秘書、卒業後株式会社リクルート勤務を経て2003年京都市議選出馬、その後、5期を務める。主な著書に『京都が観光で滅びる日』(ワニブックス新書)など。