■制作陣も高石あかりに期待

 また、千木良(高石)が親友である椎葉(吉柳)の苦しみに気づくことが出来ず、悔しくて無言で泣いてしまうという高石の演技も、《セリフは少ないのに、その一言で空気が変わる感じがした》《号泣する前に一旦涙ひいたの、すごかったなー》《こんなにも表情で魅せてくる女優ほんとに唯一無二だと思い》などと称賛されていた。

 高石に関するX上の声で興味深いのは、《前からちょっと不思議だったクラスの席配置、目立つ生徒がなぜか左右両端で、ど真ん中が無口な千木良(高石あかり)だった意図。教壇で語る椎葉(吉柳咲良)と、その頭なめのショットで自然に映る千木良の表情、という今日の見せ場シーンから逆算されてたのか》というもの。

 たしかに次元(窪塚愛流/21)や富永(蒔田彩珠/22)のような目立つ生徒は窓側や廊下側の席で、目立たない存在の千木良は真ん中あたりの席だ。モブといってもいい位置だ。ただ、指摘の通り、椎葉の話を聞いているときの表情を見せるためにここに配置したのだとしたら、それだけ制作陣が高石の演技力を評価しているということだろう。

 今後は、隣徳学院の裏口入学、不正な金の流れという本筋が展開されそうだが、これだけの演技の化け物である高石を使わない手はないだろう。高石演じる千木良は、これまで背景が描かれてきていないこともあり、終盤にかけてキーマンとして活躍する可能性は高い。ひょっとすると彼女自身が裏口入学をしていたのかもしれない。

 多くの解決すべき謎が山積みで、物語の展開に足踏み状態が続いていた『御上先生』だが、終盤で一気に盛り上がってきた。ここに千木良が絡んでくるとなると、高石がとてつもない演技を見せ、ほかの生徒役の俳優に相乗効果を与える可能性は高い。そうなれば、本作は間違いなく冬ドラマ最高の作品になりそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。