■若者にとってフィルムカメラは「未知との遭遇」

 また、フィルムカメラを通じて、過去の文化や技術に触れることは若者にとっては新鮮な体験。デジタル全盛の時代に育った世代にとって、フィルムカメラは“未知の存在”であり、その操作方法や撮影プロセスを学ぶこと自体が新たな趣味として楽しまれているようです。

「Z世代のフィルムカメラの使い方は独特で、現像のために写真屋さんに持ち込んでも、印刷をしない人がほとんど。写真屋さんではデータをスマホに転送するサービスを行っており、現像したネガフィルムは受け取らず、店舗側に破棄を依頼する事例が増加しているそうです。そのほうがすぐにSNSなどにアップできますからね。

 また、Z世代の間では『味のある写真』が高い人気を集めており、あえて『きれいに撮れないカメラはどれか』との問い合わせもあると聞きます」(カメラ好きのエンタメ誌編集者)

 ネット上でも、フィルムカメラ愛好家の若者たちから「フィルムが閉じる速度を変えたら光も全然変わって写る。ただ撮れるだけではないからフィルムは面白いなって思います」「現像して、スキャナーでスキャンして、インスタグラムに載せたりして見せびらかしたい」「フィルムカメラで撮ると、その瞬間が思い出になる」「フィルムは、デジタルよりも思い出を残せる」との声も。

 総じて、フィルムカメラの再ブームは、デジタル社会に生きる若者たちが、アナログの良さや手間をかけることの価値を再認識し、自分自身のペースで物事を楽しむ姿勢の表れと言えそうです。

 ただ、一方でメーカーはフィルムの生産を減らしてきたので、世界的にフィルムが足りず、いま出回っている分に関しては、原油高、円安、人件費の上昇などの影響で、価格が高騰している状況。

 そんな中、フィルムカメラブームがZ世代の感性により、そんな進化を遂げていくのか楽しみです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。