3月19日にテレビ朝日はホームページで、社員が経費の不正使用、複数のスタッフにパワハラを行なっていたとして、懲戒処分を行なったと公式ホームページで発表した。

《コンテンツ編成局第2制作部エグゼクティブディレクター(50才)は、2019年から2025年1月にかけて、個人的な会食等の費用を会社に請求するなど、ルールを逸脱した経費処理をしておりました》《複数のスタッフに対して人格を否定するような発言を繰り返すなどパワーハラスメントに該当する行為が、外部の編集室などで行われていたことを確認しました》

 当該社員は同社における降格処分が下され、担当番組であった『ナスD大冒険TV』は打ち切りになることが発表された。この“社員”は同局の名物ディレクターである。

「処分が下されたのは“ナスD”こと友寄隆英さんです。テレ朝の発表と同時にマスコミ内にその情報が駆け巡っていました。パワハラに加えて、不正に利用した経費は総額約517万円にのぼります。

 友寄さんは、2019年まで放送された旅バラエティ番組『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日系)の企画に自ら出演。同企画でペルーの旅の途中に村の女性から“美容にいい”と嘘をつかれ、刺青用の染料に使われる果実の汁を顔や体に塗りたくり、青黒く変色し元に戻らなくなってしまったことから“ナスD”と呼ばれるように。その後、2020年にスタートしたのが『ナスD大冒険TV』でした」(スポーツ紙記者)

■過去、番組関係者から“訴え”も……

 友寄氏はフリーディレクターを経て2003年にテレビ朝日に入社。『いきなり!黄金伝説』や『SMAP がんばりますっ!!』などを担当、出演者に企画をやらせるだけでなく、自身も体を張ることで有名だった。

「『黄金伝説』は演者にとって無茶な企画も多かった。ただ、友寄さんは、それを提案する前に実際に自分で実演するというのがモットー。たとえば“マグロだけで生活”、“ケーキを100個食べる”といった企画に関しても、まずは自分でやる。そのときに体に起こった変化や過酷さも、ちゃんと説明する。そういった体当たりな番組作りで視聴者の信用を勝ち得てきました。

 顔がナス色に染まったときの探検企画も、もともとはU字工事さんのロケハンのために撮影されたものでした。自らアマゾンへ行き、カメラで撮影しながらカタツムリを食べたり、川の水を飲んだりと、向こう見ずな部分もありますよね。

 パワハラの詳細についてはまだ表に出ていませんが、友寄さんは制作について相当ストイックな気質だっただけに、スタッフに求めるものも大きかったのではないでしょうか。そうだとしても、今の時代はパワハラは絶対に許されない。《複数のスタッフに対して人格を否定するような発言を繰り返すなど》と発表されており、かなり酷い言葉があったのでしょうね……」(テレ朝関係者)

 テレ朝局内に共有された人事通達によると、友寄氏以外の、彼の同部署の上司にあたる社員も1〜3か月の減給を命じられている。理由としては《管理監督責任を問うもの》。そこからも友寄氏の行ないのマズさがうかがえるだろう。

 そんな友寄氏には、過去にもトラブルがあって──。

「2020年に、『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』に出演していたある旅行ライターが、テレビ朝日などを相手取って損害賠償請求を起こしていたといいます。原告はやらせ行為に加担させられたり、スタッフからパワハラを受けたとして、330万円の慰謝料を請求していたといいます。

 また原告は同年、『週刊新潮』(新潮社)の取材を受け、“約2年間のギャラが全く支払われなかった”と告発しました。友寄氏にギャラの件で相談したいとメールをしても無視されていたとか。テレ朝側は『週刊新潮』に対し、《(男性の)主張は事実に反し根拠がないものと考えており、詳細は裁判の場で主張してまいります》とコメントを出していました」(前出のスポーツ紙記者)

 過去にもトラブルが報じられていた“ナスD”だが、今回の一件は相当に重いもののようだ。